2010年11月02日

裕次郎、神戸でアウトロー

赤い波止場
舛田利雄
10.1101hatoba.jpg★★★☆☆

 石原裕次郎主演で神戸を舞台にしたヤクザ映画。裕次郎が演じる「左撃ちのジロー」は常に白スーツでモノクロ画面に画面映えも良く、異国への窓口、港町がかもす哀愁をバックグラウンドに、意図せぬうちに内部抗争に取り込まれたやるせなさをにニヒルに演じる。
 ヒロインは北原三枝で東京から故郷に戻ってきた素人女性、圭子。殺された兄に代わり喫茶店を営むの圭子に一目惚れのジロー。しかしジローには恋人である踊り子マミーがおりジローに恨み言を投げるマミーの図式。そんな折、ジローの命を狙うものが出現。ジローは元々東京でのとある一件のほとぼりを冷ましに神戸・松山組の客人としているのだが、ジローの所属する東京の組織よりの刺客であることが発覚。しかも兄貴分と慕ってた勝又が差し向けたものと知り訳がわからぬジロー。ジローの神戸での弟分、チコがその刺客に殺され抗争の開幕となる。
 ジャン・ギャバン主演映画『望郷』へのオマージュも汲み取れる作品

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2010年10月29日

クストリッツァ・バンドのツアー記録

SUPER 8
エミール・クストリッツァ
10.1028Super8.jpg★★★☆☆

 切り取られてるのはバンドメンバーらの陽気な生態。大はしゃぎのオフショットに大バコでのライブシーン。音楽ドキュメントフィルムである。
 戦乱の火中にあった旧ユーゴからヨーロッパへの縦断ツアー。ロックバンド、"ノー・スモーキング・オーケストラ"は映画監督、エミール・クストリッツァがギターでメンバーに入る大所帯バンド。イタリア、フランスなど要所での大会場におけるライブはどれも大入りで大人気ぶりがうかがえる。彼らの音楽はロックをベースにどこか混沌とした無国籍ムードのファンクなスタイル。ヴォーカル、ネレのテンションの高さで会場を湧かす。そんなライブ記録を中心にオフショットやPVのメイキングや本編などがごちゃ混ぜにされてる内容。
 ツアーバスでメンバーらの生い立ちがそれぞれ明かされるが、それについてはちょっとした再現フィルムが混ぜられ、オールドムービーに仕立てたエフェクトがかまされる。映画タイトルの『SUPER 8』はコダック社のアチュア向けの8ミリフィルムの名から引かれており、良き日のフィルムの質感への愛着もあふれる。

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2010年10月22日

空恐ろしく純真で美的ファンタジー

落下の王国
ターセム・シン
10.1021TheFall.jpg★★★★☆

 世界遺産13カ所。各地の風光明媚な土地を舞台に切り取られた映像の美しさたるや並でなし空恐ろしや。MV(ミュージックビデオ)やCM出身の監督ならではの映像美。
 そんな映像美観もきっちりした骨格(プロット)に支えられて芯のある物語を形成。無声映画の隆盛期、撮影で(落下して)足を骨折し入院してたスタントマンと、農園で(落下して)腕を骨折した少女が出会い、スタントマンが少女に物語を語る主線。2人が入院してる病院におけるストーリーと、物語を聞き少女が頭の中に描いた王国のストーリーが平行して進む。王国のストーリーとは、とあるヒーローが4人の仲間とともに悪漢と立ち向かいとらわれている姫を救おうという冒険活劇。
 それぞれのストーリーで出演者は重なる。例えば、語り部のスタントマンは少女が描くヒーロー、ブルー・バンデットであり、病院にいる看護婦は、物語では姫さま役で登場する。スタントマンが語るストーリー、元はというと、自殺願望から、物語を聞かせ少女を手なずけ、病院の薬局から薬品を奪う算段からのもの。無垢なる少女はスタントマンが語る冒険活劇にどっぷりとハマり、見知らぬ語り人へ友愛の情を抱き、薬品を奪ってくるのもいとわない。そしてとある転機が訪れるのだが、相も変わらないスタントマンの自殺願望は、彼が語るストーリーに深く影響、王国の物語は少女が望まぬ「落下」の過程をたどる。
 オーラスでまたもサプライズ。痛切な映画愛なのである

 監督のターセム・シンはインド出身の映像クリエイター。湖を泳ぐ象など数々の象徴的、抽象的なシーンはどこかオリエンタリズムに彩られてる。00年の本編処女作『The Cell』に続いての劇場公開2作目。王国の5人衆が繰り広げる活劇は世界遺産など世界中の美観エリアが舞台となり、24カ国をまたにかける。ターセム監督、次回作はミッキー・ローク主演のギリシア神話もの『Immortals』で来年(11年)11月公開予定と。きらびやかな衣装はアカデミー賞受賞歴ある石岡瑛子が担ってる

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2010年10月12日

死者を想い出でおくりびと

ワンダフルライフ
是枝裕和
10.1011wonderful.jpg★★★☆☆

 死人にとって、生涯最高の想い出を映像化する人。そして映像化される想い出を語る人、語れぬ人らの映画。
 死者の身支度を整え納棺する人を取り上げた『おくりびと』なんていう映画があったが、こちらは、その人にとっての最高の想い出を映像化することによって、「おくる」人らが取り上げられる。後に、送る人らも死人であること、その人らは想い出を語れずにいた人だと明かされる。自分の想い出が上映されるとそのとたんにその場からいなくなる=天国に召される。その人にとって最高の想い出のみを胸に、成仏されゆくしくみ。映画ではおくりびとらが死人にそれぞれの想い出を取材する場面、面接のシーンが多く映し出される。ドキュメンタリーの様に自然体で語る人々。実際に素人の方が出演し自らの本当の想い出を語っているのも使われていると。
 舞台は古き廃校の様なクラッシックな学び舎。淡い陽光が差し込み幽玄なるあの世の入り口を実写化してる。死人たちが立ち居振る舞う、まるきりのファンタジーな世界。物語を通じて静謐な撮り口でつづられ、上質な映像美を形成してる。終盤でおくりびと側の一人、望月(ARATA)と送られる側の一人、渡辺との間にあるとある関係が明かされ波紋が広がりクライマックスへとさしかかっていくが、全体に少々間延び感はある、ような。映画館でみればまた違うのかもしれないが…

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2010年10月10日

エノケン、いつしか大泥棒に

エノケンの怪盗伝 石川五右衛門
毛利正樹
10.1009enoken.jpg★★★☆☆

 エノケンのミュージカル時代劇。戦国時代、鍛冶屋の五郎(エノケン)が野武士の災難から逃れるため立ち上がり、魔法の杖を手にするや、悪を懲らしめ市民に金を施す義賊と成り上がる成功譚。しかし時の大泥棒、五右衛門と間違えられ頭目ともてはやされるや、恋人との心離れ、魔法の杖も威力をなくし、事態は急変。
 エノケン、鍛冶屋の市井の暮らしから義賊として人々のヒーローとなる役柄の変化が見所か。途中、腰元に扮したエノケンが、花菱アチャコ演じるバカ殿を欺き金品強奪のコント仕立てのシーンがおかしい。

 鍛冶屋の五郎、村を襲い母や恋人に難を加えた野武士に反抗、願をかけ魔法の杖を賢老人から授かっては、仲間の花火師らと共闘し次々に野武士らを撃破。さらに侍屋敷から金盗んでは庶民にばらまいたことからヒーローとして一目置かれる。しかし、時の大泥棒、五右衛門と間違えられ女賊の小萬からは言い寄られ、悪の頭目と化すや杖のパワーはなくなり、総攻撃をかけてきた武士らに討ち取られようとするところ、これまで五郎の仲間と化していた本物の五右衛門がこれを救う。五郎は元の庶民に戻り、恋人との仲も修復

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2010年07月30日

キートン一家の船出で受難ギャグ満載

キートンの船出
バスター・キートン
10.0729boat.jpg★★★☆☆

 キートン一家がレジャーボートで船出。キートンコメディは毎回が体当たりだけど、今作は水上にて命がけ度もマックス。大荒れの海で船が翻弄され、船内大回転の大仕掛けなギャグがクライマックス。ほか小ネタも満載で、ショートフィルムながら密度濃い作品

 キートン夫妻に子2人の一家。海沿いの家から進水しようとすると家の出口が船より小さく、家は大破。浮かぶはずの船もそのまま海中へ。再度進水。家にあったバスタブを救命ボートにしいよいよ海へ。途中にある橋をよけるためマストや煙突を一時的に倒れる仕掛けにしているが倒しがウマく行かず激突の場面も。海上に出れば大シケで揺れる船。浸水してきた水は穴をあけて排水しようとするもさらに水が入る始末。そんな穴はパンでふさいでしのぐ。そしてさらに海は荒れ、船室内がグルグルに大回転でキートン大アクロバットのメインイベント。そしてバスタブにてボートを脱出。しかし4人ぎゅうぎゅうのバスタブはいつしか海に沈むとなるが、浅瀬についており難を逃れる一家

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2010年07月16日

銀行員キートンがお化け屋敷でハマる

キートンの化物屋敷
バスター・キートン、エディ・クライン
10.0715hauntedhouse.jpg★★★☆☆

 前後半に別れた構成。前半は銀行にて主に「のり」ギャグ押し、後半は化物屋敷で主に仕掛け階段での滑りギャグとシーツのお化けギャグ。後半は人物関係がちょいと複雑になってくるが、階段の段差が無くなり滑り台と化す仕掛けはギャグとして分かりやすく、オーラスの夢、天国から地獄へ滑り落ち、の前フリとして効く

 銀行員のキートン君、札束を数えていて、指先を湿らそうと海綿に指をつけたつもりが糊(のり)だった為に札が指について離れない。コレを拭おうと何度もこするもんでどんどんのりが広がり、お客を巻き込んで銀行中大混乱に。そもそもその銀行では支配人らが偽札作りをしており、後に出てくる「化物屋敷」は偽札造りのアジトで、人を寄せ付けないために自らが化物を演じて人々を気味悪がらせている屋敷。それはそうと、銀行内で偽札が発覚、悪徳支配人は狂言強盗を企んでごまかし図ろうとするもキートンが強盗に間違われて警察から追われる身に。
 逃げ込んだのは当の化物屋敷で。件の支配人の指図でシーツを頭からかぶせた古典のお化け風を邸内に行き交わせており、さらにはへたくそな芝居により客から追われてきた芝居一座が舞台衣装のまま混入で大騒ぎ。キートンはまず正面にある大階段を上り2階にたどり着こうとするや段差が無くなって下まで滑り落ちる階段に難儀。シーツお化けはしまいには仕掛けが判明、大量に出てきた際にはキートン君自らが交通整理。ラストは警察により悪事発覚するもキートン君は混乱の中で殴られて夢の中、空への階段を上り天国の入り口へ。しかし門前払いを食らい階段の段差が無くなり地獄へ滑り落ち。

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2010年07月15日

キートンが監獄でスラップスティック

キートンのゴルフ狂の夢(囚人13号)
バスター・キートン、エディ・クライン
10.0714Keaton.jpg★★★☆☆
 
 キートン自作自演で「ゴルフ狂の夢」ショートフィルム。当初はゴルフを楽しんでたはずのキートン君。自打球を受け失神で脱獄犯に囚人服をすり替えられ、しばし警察団と追っかけ劇の後、監獄行き。監獄では死刑囚に間違えられ、絞首刑ギャグをひとしきり。ロープがゴム製なものでビローンと伸びる仕掛け。弾力性もあり跳ね方が尋常でない。所長の娘がロープをすり替えてあげてた設定。当初ゴルフに一緒に来ていた彼女がなぜだか所長の娘になっていてキートン君の窮地を救った。
 その後、図らずも失神した看守と服を交換し今度は看守の身柄に。しかし囚人らの反乱勃発。首謀者の巨体の囚人により看守らは打ちのめされるも、看守キートンはボクシングのパンチングボールをロープで伸ばし振り回して対抗、見事打ち倒して終了。気がつけば当初の気絶していた自分。夢オチ…

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2010年07月05日

マイケルの勇姿、ラストダンス

THIS IS IT
ケニー・オルテガ
10.0704thisisit.jpg★★★☆☆
 
 希代のポップアイコン、マイケル・ジャクソンのロンドン公演に向けてのリハーサル風景を主に構成された音楽ドキュメンタリー。09年6/25の急死、2日前の映像も含まれるリハーサル風景は、ライブの最後の詰めの段階でバックバンド、コーラス、ダンス、照明、火炎エフェクトなどの枠はほぼ完成形。マイケルとの合わせで、マイケル自らがこうしたいなどと制作スタッフに伝え微調整。歌は本番に向けて影響があるのかフルコーラスで歌うことなくとぎれとぎれでさらってる。
 本編はバックダンサーのオーディション風景から始まり、ダンサーらのステージに向けての意気込みやマイケルへ熱い想いなどコメント幾つか。オーディションではマイケルの姿も見える。そしてステージ映像。曲毎にいくつかのリハーサル映像をつぎはぎしてる他、ステージで上映用に想定された映像も交えシームレスに編集、見やすく演出されてる。監督は当公演の振付け&演出家がそのまま担当。話題になった女性ギタリスト、"オリアンティ"とのデュオアクトにオリエンタル女性ダンサーとの共演なども。
 映像はスナップ的なものも含め相当量が撮られており、マイケル本人の生前の貴重な映像が集積。
 ステージはほぼ完成段階のモノゆえ、フィルムコンサート的に楽しめる。しかしこれは映画館で見た方が良い。テレビでは迫力に欠ける、たぶん

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2010年07月01日

一杯のコーヒーに潜む真実

おいしいコーヒーの真実
マーク・フランシス/ニック・フランシス
10.0630coffee.jpg★★★☆☆
 
 コーヒーの国際流通をめぐり、生産者が不条理な低所得を強いられている現実にスポットを当てたドキュメンタリー。生産単価の低迷による貧困や餓死、農家らの生活苦を目前に孤軍奮闘するエチオピアの農協連合代表、タデッセ氏の姿やコメントを追う中で一連の事情をかいま見るしかけ。
 相場感覚がない生産者は海外資本の圧力におされ法外な安値で買い取られてしまう状況。こと近年の「コーヒー危機」により生産価格は下落の一途をたどり、そのしわ寄せが生産者が降り掛かる構図。輸入、焙煎業者などの流通大手はそんな惨状に耳を貸さない。
 ヨーロッパの大都市、まちかどのカフェで悠々とコーヒーをすする市民と貧しい農民のコントラストは強烈に映る。
 我々に出来ることはフェアトレードに気を使った製品に注目することのみ。これはきっとコーヒーに限ったことではないのだろうけど

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2010年06月06日

ゴダールの自画像。自伝ではなく

JLG/自画像
ジャン=リュック・ゴダール
10.0605JLG.jpg★★★☆☆
 
 監督ゴダール本人出演により自分を回顧する種のドキュメンタリーと幾つかのドラマ断片。いつもの言葉と音楽、映像の哲学的パッチワークは、幼少から慣れ親しんだ土地を舞台に本人出演にして自分自身を取り上げていることから、ことさら自由に飛躍してる。

 舞台はレマン湖畔。アトリエにて本人思索模様。本人肉声に薄暗がりの中で自らの姿を映し出す。少年期の肖像とともに幼少期を回想。「希望は少年のものだったが 少年はかんじんなこと、つまり、自分が誰のものか、知らなかった」。時に湖畔を行くゴダール。ヴィトゲンシュタインら過去の思想家を引用しながら自分と世界を照らす。家政婦との部屋ごしのやり取りがあり、出て行く家政婦。フランスの国立映画局から査察団がやってき書棚など捜査。「申告することは?」「映画は商品だ、燃やすべきだ … ただし、燃やすのは内面の炎で、芸術は火事のごとし、燃えて蘇生する」。映画仕上げの場に編集助手志願の女性がやってき。森ではゴダールのコートを尻の下に敷きながら詩を朗読する老女…、などの断章

 『映画史』と平行して作られたという今作。全8章にわたる氏の大作の傍らで息抜きのようなユルさがにじむ小品。

 バウスシアター「爆音映画祭」にて鑑賞

フランス映画社

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旅情、追憶/ストローブ=ユイレ最終作

ジャン・ブリカールの道程
ジャン=マリー・ストローブ,ダニエル・ユイレ
10.0605JeanBricard.jpg★★★☆☆
 
 フランス、ロワール川を行くボートから岸辺の風景が横移動でとらえられる。延々と続く岸辺の風景は、どことなく枯れた林が多く、モノクロの質感も合わせ寂寥感ただよわす。ジャン・ブリカールなる人が住んでいた土地をかつて録っていた本人の声ととにめぐるドキュメンタリー。川辺の風景に代わり陸に上がってはその川の中州、島の様々な光景が続く。枯れた木々、道、家並み、どれもが物悲しい。
 ジャン・ブリカールは島の砂質採取事業の責任者であったと。大戦時にドイツ占領下で起きた出来事の語り。

 監督はジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレの共同監督。私生活では夫婦関係にあるという2人は、「ストローブ=ユイレ」として多くの映画を生み出しており、今作は2008年の作。この後、片割れのダニエル・ユイレが死に、コンビワークとしてはラスト作に。ゴダールらヌーヴェルヴァーグの人脈とも深い関連をもつという2人の仕事。今作同様少し難解で前衛的な要素が見られるらしいが、他は知らぬ。
 吉祥寺、バウスシアター「爆音映画祭」にて鑑賞。序盤戦、いつ終わるとも知れぬモーターボート音が続くトランス感覚

 バウスシアター「爆音映画祭」にて鑑賞

アテネ・フランセ

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2010年06月04日

ナチ撲滅の多国言語サスペンス

イングロリアス・バスターズ
クエンティン・タランティーノ
10.0603Basterds.jpg★★★☆☆
 
 戦時下、ナチス対抵抗勢力のスリルある攻防戦。タランティーノ得意の会話劇を進ませながら、これまでよりは幾分無駄を削ぎ落とされたセリフ群。そして殺るか殺られるかの緊張感を全体にただよわせながらどこか笑いの要素も忍ばせたギミック。特に今回、キャストの話す言語による様々な仕掛けを敷いていて新味。ラストのヤマ、ヒロインが復讐の意を決し化粧など身支度をするシーンは日本のヤクザ映画によくあるラストの道行き前にも似て、映画元来がもつ醍醐味を感じた。史実に基づくもののストーリーは荒唐無稽。けだしこれぞ最高のエンターテイメント。タランティーノ、ツボの抑えどころ最高、である

 5つにチャプター割りされた構成。当初独立した2つの物語が進行し、チャプター5でこれらが融合し大スペクタクルが待つ大団円に向かうストーリー。昨年(2009年)公開の今作、Q・タランティーノ最大のヒットとなったが、得意の殺人シーンはさらにリアルかつ残酷性がアップ。ナチ狩りの特命部隊"イングロリアス・バスターズ"の隊長レイン中尉役、ブラッド・ピットも貫禄充分。ヒロイン役のフランス女優、メラニー・ロランにスパイのドイツ女優役、ダイアン・クルーガーらキレイどころの出演も充実。さらにナチの参謀にて多国語をあやつる"ユダヤ・ハンター"役、クリストフ・ヴァルツのじわりとした冷酷性もスパイシーで見所多い

 [チャプター1]舞台、大戦時ナチス占領下のフランス。田舎町にて"ユダヤ・ハンター"、ランダ大佐一隊に家族を虐殺され一人生き残る少女期のショシャナ
 [チャプター2]ユダヤ撲滅の命を帯びフランス入りした"イングロリアス・バスターズ"。頭の皮狩り、バット撲殺など狂気の殺戮を展開
 [チャプター3]パリで小映画館を営む女館主ミミューに身をやつしたショシャナだが、ナチスの英雄とされる将校に見初められ、ナチスのプロパガンダ映画の上映を迫られるが、ここで映画館もろとも焼き尽くしヒットラー含むナチスの幹部らを皆殺しにするという復讐を画策
 [チャプター4]ナチ幹部を一網打尽に出来るとのネタをつかんだスパイ女優ブリジットの手引きで地下酒場で打ち合わせ、しかし居合わせたドイツ将校に気付かれ一瞬の銃撃戦。生き残ったブリジットはバスターズの隊長レイン中尉にナチ殺戮の舞台となる映画館へエスコートせよと迫られる
 [チャプター5]プレミア上映の日、ショシャナは焼き討ちをセッティング、そこへバスターズらも参集、ナチ幹部も大集合でいよいよ緊迫の大作戦となるが、それぞれに意図せぬ展開となる

 吉祥寺、バウスシアター「爆音映画祭」にて鑑賞

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→goo映画http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD14818

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2010年05月28日

少女アリスと2人旅

都会のアリス
ヴィム・ヴェンダース
10.0527Alice.jpg★★★★☆
 
 作家フィリップと母親に置いていかれた少女アリスとの行きずりの2人旅。ヴェンダース初期作品にして得意のロードムーヴィー。フィリップはアメリカに抱いていた理想と現実のギャップを、アリスは親においていかれてしまった、というそれぞれの喪失感を抱える。フィリップはアリスの祖母が住む家を探しアリスを送り届けようとドイツ地方都市の旅路をいくことに。少女なりの無邪気さと何か達観した様な視線を投げ掛けるアリスに対し、フィリップは当初あった理不尽な思いを次第になくし同志としての親愛を築いていく成り行き。
 
 作家フィリップはアメリカが描きたくて当地にわたるも何も書けずに金がつき、ドイツに戻ろうとしたNYの空港で英語に難あるドイツ人親娘にチケットを取ってあげたことから、その2人と同行となるも母親は後で合流すると置き書きを残し、残された少女アリスと渡欧となったフィリップ。約束の空港でも母親は現れず、アリスの祖母の家探しの道行きとなる。
 それまで、心のすき間を埋めるかのようにポラロイドカメラで風景を切り取り続けていたフィリップはアリスと同行するようになってからはあまりカメラを手にしないようになっていた。途中、アリスが以前に行ったことがあるという祖母の住む街で、その家の探しても見つからず、あげくアリスはこの街ではない、と言い出したことから、手に追えぬと悟ったフィリップはアリスを警察に預けるが、その日の内にアリスは警察を抜け出し、その間たまたまやっていたチャック・ベリーのコンサートに観ていたフィリップと再び合流。今度は確かだというルール地方を目指す2人。

 アメリカを夢見ていたフィリップはヴェンダース監督の分身であるかのように何か失望感に塗られた言葉を吐き続ける序盤。小道具はポラカメラ。画像が浮かび上がるまでに時間がかかるポラ写真は、当初捕らえたかった印象を捕らえきれないと嘆き、アメリカも実際に体験してみたら当初捕らえたかったものと違う、と同化させていく。そんな中で出会った少女アリスとの騒動でそんな失望感をリセットしていくフィリップの心象模様

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2010年05月19日

巨悪vs復讐鬼。対決の行方

悪い奴ほどよく眠る
黒澤明
10.0518warui.jpg★★★☆☆
 
 ムンクの「叫び」を思わせる小悪党らの恐怖にさいなまれる表情が印象的。ホラーでいて軽妙洒脱な片鱗もあり小気味良い端的なプロット。しかし、恋愛描写はやや重たくその部分中だるみの感あり。最後の落としはやるせなくも何か示唆的でいて現実味

 公団と建設会社の汚職にまつわり、自殺に追いやられた公団側の下っ端管理職の落としだねが、巨悪の懐に飛び込んで復讐劇を展開するスリリングな展開。税金を食い物にしてのうのうと生き抜く巨悪への弾劾の魂が刻み込まれ、劇中の小悪人が次々恐怖のどん底に突き落とされる様はまるでホラー映画を観るようで痛々しく死と隣り合わせの狂気性をはらむ。しかし仕事人の西幸一は時に口笛をふきながら何事にも動じないタフな仕事ぶり。中盤までは万事西らの筋書き通りに進むが、巨悪(と言ってもその裏には更なる巨悪が潜む)の娘婿となり、秘書の立場で暗躍するも、妻であり巨悪の娘に西が愛情を持ってしまうことで少しずつ歯車が狂い始める。
 黒澤映画常連、三船敏郎がダンディな復讐鬼・西に、森雅之が西に対峙する巨悪・公団副総裁岩渕を老け役で演じ、志村喬は岩渕の腹心の部長で小悪党しかしどこかとぼけた役どころ。さらにその下、西らのトラップにより恐怖にのたうち回る課長に西村晃、その下、課長補佐は藤原釜足で西の道具としての下級リーマンを演じる。ほか岩渕の息子で西の妻佳子の兄の三橋達也はどら息子ながら普通人としての感覚を持つ異色な存在。それぞれ個が光るキャスティング。

 復讐劇の深刻な中でも西の口笛ほかちょっとした軽妙な味付けありでバランスに優れる趣向

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2010年04月13日

桶屋の鬼吉、親分をもり立てて

次郎長三国志 次郎長賣出す
マキノ雅弘
10.0412jirocho.jpg★★★☆☆
 
 田崎潤演じる「桶屋の鬼吉」が軽妙快活でいい味。本人、後年の渋みある存在感とは異質の機動力がこの映画を引っ張る。それだけのキラリとした存在感。その分、親分の次郎長自身はなんだか薄いのだが、これはまわりの強い個性に支えられて"親分"に仕立てられていった、となる演出の一端だと

 マキノ監督による"次郎長三国志"シリーズ(東宝版)、全9作にして第1作目の今作。まずは全編のキャラクター紹介の様な一編。冒頭、居酒屋で浪曲をうなるのは、後に子分「張子の虎三」となる広沢虎造で、この人、まさに浪曲"次朗長伝"で名を挙げた本人が出演。どこかトボけたおかしみのある芸風。以降浪曲は映画全編でエピソード毎のつなぎとして効果的に使われる。親分となる次郎長(小堀明男)は飲みやでチンピラものをうっかり殺してしまったと思い込み高飛び。旅先で出会ったのが「桶屋の鬼吉」で、鬼吉がばくちでかもられていると見抜いた次郎長は鬼吉に助言。これを聞き一人で賭博場に乗り込み殺されそうになった鬼吉を次郎長が救う流れで、鬼吉は子分にしてくれと進言し、これが次郎長親分始まりの瞬間。冒頭の殺人の疑いも晴れた次朗長は地元清水港に戻り一家をゆるりと旗揚げ。
 最後とある一家からの助太刀を頼まれ出入りとなるが、ここで元は侍で一家に身を寄せていた、政五郎(河津清三郎)がこの一件、戦いより仲裁をするべきと進言しこれが好走。晴れて次郎長世に「売出す」所行

ラピュタ阿佐ケ谷

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2010年04月09日

雲南イ族の新婚夫婦騒動

雲南の花嫁
章家瑞(チアン・チアルイ)
10.0408unnun.jpg★★★☆☆
 
 山間の美しい田園風景を舞台に、民族のしきたりに翻弄される新婚カップルの話。ここではヒロイン、フォンメイを演じるチャン・チンチューの自由奔放で勝ち気な新妻ぶりが瑞々しく浮き立つ演出。民族衣装の鮮やかな色彩にまみれ甘酸っぱいラブコメディ

 中国、雲南省の少数民族、イ族に残るしきたりは、結婚後3年は一緒に暮らすことができず、3年後に晴れて同居となる「帰家」なる慣習。長崎の「蛇踊り」の原型ともいわれる龍舞の女性舞踊団にコーチとして関わる夫に対し、妻フォンメイは夫と一緒にいたいと、無理矢理メンバーに加わる。夫のアーロンは妻の管理もできないと周囲から非難され、妻を遠ざけようとするも、持ち前の明るさや面倒みもいいことから、舞踊団のリーダー的存在になり、複雑なアーロン。そして舞踊団が資金不足となり、メンバーはコーチの許可なくビールメーカーの出資を得るためキャンペーンに参加。突っ走るフォンメイにとうとうアーロンは愛想尽かしとなるが、根っこの所では離れられない2人。最後は中央での龍舞大会に出場となるが

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2010年03月30日

過剰すぎるロボット変態戦闘映画

トランスフォーマー
マイケル・ベイ
10.0329Transformers.jpg★★☆☆☆
 
 スポーツカー、カマロがニョキニョキと巨大ロボットに変態するビジュアルで知られるSFもの。本編映画としてフルでチェックしてみれば、過剰なまでの戦闘シーンが延々と続くマッチョな構成。ロボに変態していくCGはそれぞれのシーンで基本1カットで成立。相当の精密描写で迫力があり実写とのなじみもいい。これらのCG設計はILMの日本人クルー山口圭二氏が担当していると。原作自体も元々は日本の玩具メーカーによるもので、当初はUSで大ブームとなり日本に逆輸入された経緯と。
 映画化に当たってはスピルバーグが総指揮し、『アルマゲドン』で知られるハリウッドのアクション大作系のマイケル・ベイ監督が手がけてる。
 それにしても過剰すぎる戦闘シーン。トランスフォームしたロボたちが、USビル街を舞台に束で戦いを繰り広げ、これにUS軍、航空部隊も参戦でめまぐるしく爆撃し、車両がクラッシュするスペクタクル。原版日本のロボットアニメをハリウッド流に実写映画化すればここまで激化できる典型。

 ロスにすむ冴えない青年サム・ウィトウィッキーが主人公。もてたい勢いで父から買ってもらった中古のカマロで愛しの彼女ミカエラを助手席にのせることに成功するが、当の中古車カマロは宇宙からやってきた「金属生命体」が変態していたもので、その外惑星で起こったいさかいが日本を舞台にした戦争となり、いつしか2人はそれら「金属生命体」たちの戦争に巻き込まれることに。
 ロボたちは状況によりトラックや、戦闘機、特機車などに変態するわロボに戻るわでめまぐるしい変態(トランスフォーム)模様。ロボたちは人格を持ち合わせ、サムたちと心を通わせる。

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2010年01月09日

温泉旅館の主人2人が珍騒動

喜劇・駅前温泉
久松静児
10.0108ekimae.jpg★★★☆☆

 福島の実在の温泉街、磐梯熱海駅前を舞台にしたドタバタ喜劇。寂れる温泉街の活性化をめぐり元から犬猿の仲だった旅館主人の2人はさらに対立を深めるも、それぞれの子らは恋愛関係で固く結ばれており、ラストはそんな子らに振り回される事になるしょぼくれ親父2人の構図。出演者みなが極めて律儀に福島弁をあやつる奇跡的なセリフ回しが出色。森繁の娘(司葉子)を思いたそがれる哀感がいい味

 駅前シリーズ第4弾、レギュラー3人の役どころは、森繁(森繁久彌)、伴淳(伴淳三郎)が対立する双璧の宿屋、福屋と極楽荘の亭主。フランキー堺はその間を飄々とわたる観光協会事務局長、坂井役。
 物語前半は孫作(伴淳)が観光の目玉として仕掛ける、芸者による水着アンマなど下ネタ大衆化路線に対抗する元軍人で昔気質の徳之助(森繁)の対峙。しかし、森繁のなじみで美容院のママ、景子(淡島千景)の友人で妖艶な人妻、恵美子(淡路恵子)が泊まりに現れると自らあんまサービスでメロメロな状況。しかしその亭主三平(三木のり平)が現れ混乱と思いきや、三平にとって徳之助はかつて戦地での上官にあたる戦友同志。
 三助上がりという孫作主導による「三助コンテスト」なるイベントでは徳之助、孫作、さらにとび入りの且那(柳家金語楼)も参加し、3人それぞれが水着女性を相手に三助サービス。これに司会の坂井も加わり全員泡まみれのモンドな温泉風情。
 終盤にかけては徳之助の娘と、孫作の隠し子であった幸太郎の恋愛で大騒動の顛末。森繁はあまりの寂しさからか乞食親子の幼女を(親が見つからないこともあり)娘の身代わりのようにかわいがるように。坂井と美容院ママ景子は若い2人の仲を支え、徳之助と孫作の和解工作を図るが…

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