2008年12月11日

オキナワン歌謡ドキュメント

あじまぁのウタ 上原知子-天上の歌
青山真治
08.1210ajima.jpg★★★☆☆ 

 沖縄の歌い手、上原知子のライブでの歌シーンを中心に構成された歌謡ドキュメンタリー。くるくるとコブシが回り伸びやかな高音で歌われる沖縄民謡をベースにしたウタの数々。序盤はじっくりスポットライトに浮かび上がる彼女の姿が映し出され、中途からはレコーディング風景とその中でのインタビューが挟まれる構成。ライブは「りんけんバンド」のそれほど大きくないライブハウスでの公演模様であると途中からわかる。照屋林賢率いる「りんけんバンド」の一員でもある上原のウタ。終盤にかけてはノリのいいカチャーシーなナンバーで場内盛り上がりの様子
 音楽プロデューサーの照屋林賢と二人三脚で作り込まれていくウタ。録音は夫婦の間柄でもある2人のやり取りで和やかに進んでく。録音中、思うように声が出ない上原に対し、林賢はのどを水で湿らせればと、すすめるが、水をゴクゴク飲むと逆に胸が詰まって声が出なくなると上原。そんな些細なやり取りがカメラに収められ自然体の彼らがパッキングされてる。インタビューはガラスごしの遠い視点で撮られ、上原がこの世で一番好きというオバアのウタのことなど音楽的ツール話など

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2008年11月23日

大戦後のユーゴ、人々の悲哀と楽天

パパは、出張中!
エミール・クストリッツァ
08.1122papa.jpg★★☆☆☆ 

 巨匠クストリッツァ、30歳の時に撮った出世作。
 6歳の子供の目線を通し描かれる世界は、人生の悲しさとやるせなさ、そしてそれを吹き飛ばすような人々のしぶとさ楽天さを映し出して良作。複雑な大人社会のしがらみとそれに翻弄されつつ冷静に観察するよな子供の視点がうすら恐ろしいよな。そこら辺はラストシーンに象徴される

 大戦後のユーゴ、混迷する世相の中、たくましく生きる家族の物語。浮気がちな父に、夫を愛するまじめな母、寡黙な祖父に音楽と映画を愛する兄。そしてこの映画の語りべである弟。
 スターリン体制からの離脱でロシアからの決別を掲げるチトー・ユーゴ体制下。父は愛人との会話の中で、ロシアを揶揄する風刺漫画に対しやりすぎだとつぶやいたことが元となって政治犯として逮捕。妻と別れてくれぬと恨み言を放つ愛人の返り討ちにあったという仕掛け。当の愛人は役人と結婚しその人に密告したという訳だが、その役人は母の兄に当たる。母は兄を問いつめるも逮捕理由を話さない。息子たちには「パパは出張中」と告げるしかない。その間弟は割礼し、さらに夢遊病が発症。行方知れずのパパへは手紙を書く。そしてついに強制労働に出ている父と面会果たすもベットをともにする両親を夢遊病で出歩いた時のために付けられた鈴をわざとならし情事の邪魔をする弟。そして家族は父の元で新たな生活を始める。そこで弟は甘辛い初恋を体験する…

 何かにつけアコーディオンを奏でている兄。曲はいつも「ドナウ河のさざなみ」で、うら悲しさと歌う人々の明るさを象徴したテーマ音楽

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2008年11月06日

日本舞台の自転車レース アニメ

茄子 スーツケースの渡り鳥
高坂希太郎
08.1105nasu2.jpg★★☆☆☆ 

 レーサーたちの苦悩や喜びがまるでドキュメンタリーを見るような臨場感で迫ってくる。
 リアルな自転車レースのアニメ化で話題だった『茄子 アンダルシアの夏』(03年)の続編。前作のスペインから日本に舞が台移り、高低差のある森林コースで前作とはまた違ったおもむきのレース模様が表現されてる。相当量の現地取材に基づき制作されたと思われ、雨のシーンの劣悪なレース環境をもリアルに再現してる

 国際レースとしてはシーズンの終盤に開催される自転車レース、ジャパンカップにやってきたパオパオビールのメンバー。チームは今季限りで撤退することが決まっていて。移籍に向けてアピールすることがメンバーの目的、というような背景。
 主人公はスペイン人レーサーのペペで、前作では奇跡の優勝をとげ今回ではチームのリーダー的存在となっているが、今作では新たにチョッチというキャラクターがペペ以上に存在感を示してる。彼はこのレースの直前にレース仲間で偉大なレーサー、マルコ・ロンダニーニが死んでしまったことで過大な喪失感に見舞われている。これをペペら他のメンバーが励まし支えレースを望むことに。日本人のサポートスタッフとして参加の、ひかるという元気なヒロインがチームを盛り上げる

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2008年11月04日

リアルな自転車レース。本格派のアニメ

茄子 アンダルシアの夏
高坂希太郎
08.1102nasu1.jpg★★☆☆☆ 

 躍動感ある自転車レースがリアルに再現されてる。疾走する車輪やレーサーたちの息づかい、レースにおけるかけひきの様などと技術的には相当高度なアニメーションであると想像できる。そして舞台はスペイン、灼熱のアンダルシア。乾いた土地の空気感や食べ物のシズル感までがパッキングされていい感じ。
 
 仏、伊、西それぞれで行われてる世界3大自転車レースの内の1つ”ブエルタ・エスパーニャ”が題材に取られてる。上演時間47分の中編だが、その大半はこのレースの模様で占められる。
 主人公はこのレースに、ベルギーの「パオパオ・ビール」の一員として参加の選手、ペペ・ベネンヘリ。ジブリの作画監督で知られる人がこの映画の監督をしているというのもあるか、顔の雰囲気がなにげにルパン3世に似てる。

 ペペは4人いるチームメンバーの中でおとりのスパートを仕掛けるなどエースレーサーをサポートする捨て駒役回り。この日生まれ故郷、アンダルシアがコースとなるが、ペペは自分が兵役の前につきあっていた彼女が自分の兄貴と結婚式を上げる当日にあたり複雑な心境、まして、レース中、監督から指示が伝わるイヤホンからは自分がこのレースの後に解雇されるという内容も聞かされストレスは大きい。ペペはレースの中盤、まずはレースの終盤でスパートをかけるチームのエースの為におとりのアタックを仕掛けるが、マークされる選手でもなかったので誰も乗ってこないという誤算。そして頼みのエースが転倒し脱落。ペペはそのまま逃げ切れとの指令が出るが…

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2008年10月26日

不器用が集まって何事かなす

しゃべれどもしゃべれども
平山秀幸
08.1025shabere.jpg★★☆☆☆ 

 江戸の風情伝わる、東京下町の風景が目に優しい。主人公役の国分太一の落語家熱演が効いてる。どこか生きづらく思う、不器用な人たちが集まって、傷をなめ合うでもなく、ぶつかり合って成長していくような人情ものがたり。全体が静かなトーンだが、古い民家、隅田川、荒川線など下町の風景や、末広亭、浅草演芸ホール、と実際の高座も舞台となり、今に伝わる古き良きものを背景に物語を丁寧に描き、重量感さえある一品

 うだつの上がらぬ落語家と、彼の開いた話し方教室に集まった不器用な生徒たちをめぐるハートウオーミング系の話。
 古典落語を志す二つ目の落語家"三つ葉"がふとしたきっかけから始めた話し方教室だが、集まってきたのは無愛想な美人のアルバイター(香里奈)、大阪から引っ越してきてクラスになじめない少年(森永悠希)、話下手なプロ野球解説者(松重豊)、の変わり者たち。三つ葉自身は私生活で女性にふられ、高座も客が来ないと不調続き。そんな中、三つ葉は師匠の小三文(伊東四朗)から一門会での高座のチャンスを与えられ、教室の面々には、まず少年はいじめっ子との野球対決、アルバイターと野球解説者は発表会を開き落語対決するなど、それぞれにイベントが持ち上がる

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2008年10月20日

字幕と名場面で語る市川崑

市川崑物語
岩井俊二
08.1019ichikawa.jpg★★★☆☆ 

 映画監督、岩井俊二が手がけた巨匠、市川崑についての伝記映画
 全編ナレーションがなく字幕で語られる。ほか市川監督の過去作品からの名場面と、大量の資料写真。写真は背景と人物を切り離しズームさせる特殊効果用い疑似立体的なテイストに。字幕による進行は劇場公開を想定して作られているゆえ、文字が小さくなるとTV画面で見ると見づらいのが玉にきずだが、フィルムのリーダー部分の挿入や映写機が回転する効果音を交えて、古典映画へのオマージュを感じさせる趣向。そしてやはりこの字幕による構成は、市川崑が多用した画面を埋め尽くすように配置した字幕効果へのアンサーでもあるかな。2人を結びつける映画愛の象徴としての字幕の強調。いい雰囲気の映画の進行である

 市川監督を敬愛する岩井俊二。市川監督の生前共同監督の企画が持ち上がるなどして交流を深め、市川監督の映画人生を語る上での味付けとなる相当量の逸話が挟み込まれる。中でも監督とその妻で脚本家、和田夏十との二人三脚で制作を続けてきた様子が厚く盛り込まれている。そして終盤は市川監督晩年の作品でセルフリメイクとなった『犬神家の一族』から多くの場面が取り入れられてる。大胆なカット割り、鮮烈な色彩感覚、フィルムならではの明暗の使い。豪華なキャスティングなどと、氏の生涯を集大成するかの作品であったようだ。

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2008年10月03日

痛快、ペテン師たちの大ばくち

スティング
ジョージ・ロイ・ヒル
08.1002sting.jpg★★★☆☆ 

 ポール・ニューマンロバート・レッドフォードの2大スター競演のメジャー作。チンピラ詐欺師・フッカーにレッドフォード、これの師匠ゴンドーフにニューマンで、2人のタッグにより一大ドッキリ大作戦を展開する、痛快で軽快なクライムサスペンス。小悪党たちがNYで羽振りを利かすキャングの親玉を大仕掛けにより大ペテンにかけようとする一見ノワール(暗黒)風な筋書きだが、ドキドキするよな緊張感を保ちつつもどこかフットワークの軽く、要所でサプライズな展開が仕掛けられていて、ラストも痛快上質エンターテイメント。メジャーなラグタイムピアノによるテーマソングもいいアクセント

 久々に見たが、古き良きニューシネマ時代の躍動がフィルムにおさまり、なんとなし甘酸っぱい印象。絵になる2人は今作の4年前、同じ監督同じコンビで撮られた『明日に向って撃て!』同様映画の華のようである。

 舞台はギャングたち暗躍する1936年シカゴ近郊。若手詐欺師フッカーとその師匠で名手のルーサーはとある小悪党から金をだまし取るとことに成功するが、その小悪党はNYの大物ギャング、ロネガンの手もので、すぐさま手が伸びルーサーは殺され、フッカーはルーサーから紹介されていたゴンドーフの元に逃げ、師であるルーサーに手をかけたロネガンへの復しゅうを熱望。FBIから追われる身ゆえ隠遁していたゴンドーフは最初渋るも仲間であるルーサーのために、古くからの同志を集めロネガンから大金をむしり取る一大作戦を企画。大仕掛けの拠点、偽馬券売り場で客などを演じる人員もオーディションで選出。フッカーにはペテン師としての正しい身なり(?)などゴンドーフ自らの見立てにより整えさせて、いよいよ作戦実行となるが…

 NHK-BSで9/26逝去のニューマンの追悼オンエア

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2008年09月03日

密室コメディでサスペンシー

キサラギ
佐藤祐市
08.0902kisaragi.jpg★★★☆☆ 

 男声陣5人による密室劇。コメディにてサスペンスチック、謎解きミステリー的なテイスト
 舞台設定がほぼ一カ所に限られる中、意外な内容が積み重ねられスピード感ある会話劇が展開してく演劇的な空気感が異色。初対面の多数の男たちにより展開される密室劇では『十二人の怒れる男』なる過去の名作があるが、今作では出演を5人にしぼったことでそれぞれの個性が極端に浮き出るスタイルとなっており、このシチェエーションを最大に活かした脚本の力もあって秀作。香川照之をはじめ芸達者揃いだが、ユースケ・サンタマリアがコアにストーリーにからんでくる割には今ひとつの存在感か

 自殺したアイドルの一周忌に集まったファンサイトの常連衆。ネット上でつながってた5人はお互いが初対面。それぞれがアイドル、如月〈キサラギ〉ミキの生写真などのレアアイテムを披露し自慢し合うなどで盛り上がるはずだったが、うち一人がミキの他殺説をぶち上げたことで一転、犯人探しのサスペンスチックな流れに。次第にそれぞれがミキ自身に深く関わりがあることが次々暴露され、容疑の対象がめまぐるしく変化するおかしみ。
 監督はドラマでは『ぼくの生きる道』、映画では『シムソンズ』などの作品歴持つ共同テレビジョン所属のディレクター、佐藤祐市

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2008年08月31日

次郎長、黒駒との戦いサラリーマン編

サラリーマン清水港
松林宗恵
08.0830simizu.jpg★★★☆☆ 

 社長シリーズ中期、清水次郎長伝を下敷きにした2部作の初回版。
 酒造会社、清水屋の社長(森繁)、と忠臣にて秘書の石松(小林桂樹)を核に、清水屋幹部もろとも、 怪しげ中国人バイヤー、邱六漢(フランキー堺)との商談をめぐり、敵対メーカー、黒駒醸造との出し抜け合戦を展開のサラリーマンコメディ。
 こと社長と石松、親分子分の関係がフィーチャーされ、子分石松は社長の浮気相手、バーのマダムとの密会を社長夫人からカモフラージュしたり、ここぞという商談では石松が先方に立つなど信頼関係で結ばれる。いい加減でスケベイな社長の脇を固める懐刀的役回りの石松。しかし石松は同じ秘書室の恋する妙子が自分の家に下宿している同僚の追分が婚約してしまったことから、大酒かっくらって大暴れ。しかしそのとき一緒に大騒ぎした相手が中国人バイヤーの邱で、邱はそのとき2人して飲んでた清水屋製の焼酎がえらく気に入り大量発注に至るとなり、結果石松の手柄。
 大量発注はいいが、原料が足りないということで四国高松へ芋の買い付けに石松がいく。旅程のフェリー船中では商談相手の社長令嬢とすし食いねぇとわたり合い。清水屋の酒を持っての石松の金比羅参りは、親分次郎長の代参に行った森の石松の話にちなみ。買い付け先で商売敵・黒駒醸造側に寝返っていたのはイモ会社社長の都田吉兵衛で、これも石松伝では、だまし討ちにあった相手と同性。
 なんだかんだで次郎長一派の話をかじり知っていると楽しめるストーリーにはなっている

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2008年07月12日

ホームレス画家との交流をたどって

ミリキタニの猫
リンダ・ハッテンドーフ
08.0711Mirikitani.jpg★★★★☆

 老人ミリキタニ氏の奔放なキャラクターがフィーチャーされ、全体がとてもユーモラスな空気感なのだが、戦争に翻弄された彼の生涯に対しての思い、さらにタイムリーに9.11の惨事が重なるなどして、話は多重構造の進展をとげて充実感あるドキュメンタリー。

 舞台はニューヨーク。猫の絵を描くことが多いホームレスの画家が、とある映像作家と出会ったことにより、明かされた彼の数奇な生涯。日系人の彼の名は、ジミー・ツトム・ミリキタニ(三力谷)。

 映画は80歳を越える老人と女性ドキュメンタリー作家の心温まる交流模様でつづられていくが、徐々に彼の日本とアメリカの関係に翻弄された激動の生涯が浮き彫りになっていく構造。折しもその交流は2001年9/11の同時多発テロの惨事と重なり、監督はビル崩壊による粉塵舞う中に佇むミリキタニ氏を自宅へと招き入れ、奇妙な共同生活が始まる様子が映し出される。
 彼の数奇な運命とは、アメリカに生まれ一時日本(広島)に渡ったが、またアメリカに戻り日米大戦期を向かえ、強制収容所に送られ身内が離散、市民権も失う。その後画家を目指し奮闘するも、料理人など労働生活に明け暮れ、果てはNYでホームレスになると。まあ、そこで「純粋な芸術」を生み出せる状況は確保できていたわけだが‥
 カリフォルニア、ツールレイク収容所の思い出は彼のスケッチとともに映画の中でも数多く印象的に映し出される。彼のアメリカ政府に対しての怒りとともに。そしてその頃多発テロの余波によるアラブバッシングがあり、「何も昔と変わらない」と彼の物言い。アメリカ人の中では「9.11」と「真珠湾」はつながっているものだと知れる
 その後、監督は役所にかけ合うなどして彼の自立を支援。市民権が復活していることも発覚し、かくしてアパート(アトリエ?)に悠然と住まう彼の姿がまぶしくもある映画の終盤。大勢の友人に囲まれ、日本語でわらべ歌など唄い笑いをとるピースフルな光景が胸に突き刺さる

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2008年07月09日

水の精をアパート管理人が救う話

レディ・イン・ザ・ウオーター
M.ナイト・シャマラン
08.0708Ladyinthe.jpg★★☆☆☆

 『シックス・センス』のシャラマン監督が06年に撮り上げたファンタジーもの。自分の娘らに聞かせる寝物語をそのまま脚本化し映画に。かといって子供向けということでもない、少々入り組んだ「おとぎ話」。猪のような怪獣に追われる可憐なる女性の水の精を、初老の独り者、一見さえない風体のアパート管理人のおじさんが救う、という構図で突き進む今作。管理人の謎解きが内容のほとんどを占め、途中うまくいかなかったりすることで時間が経過。中だるみ感がないでもなく、ラストにかけての盛り上がりも意外に地味だったりするが、印象としては優しげで静謐なルックスの映画。ファンタジーということであまりリアルを追ってない部分、話についていけるかどうかが微妙なところ。管理人のおじさんは過去に家族関連で深い心の傷を負っており、ストーリーの厚みとしてる。シャマラン監督自身も重要な役割でたっぷり出演している。
 水の精には、同監督の『ヴィレッジ』にも主演したブライス・ダラス・ハワードではかなげな存在感示す

 “青い世界”から人間界へとある啓示をしにやってきた水の精を、プールの点検中に発見した管理人が保護し、何者かに追われ襲われそうになっている状況から救い、元の世界へ返そう、とする本筋。水の精を救うには、「記号論者」「守護者」等の役割を担う人を見つけ出さなければならず、精霊についてを知る老女の話をガイドに、管理人が建物のメンテや各個人の宅の電球を付け替える等の間、住人それぞれの人となりを見極めて、それらのキャラクターを当てはめていく中盤の流れ。

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2008年06月06日

老人と少年たちのふれあいと別れ

夏の庭
相米慎二 
08.0605natunoniwa.jpg★★★☆☆

 小学6年でこぼこ3人組と得体のしれない老人の慣れ親しみ合いと別れを追った幻想的で詩的なムービー。相米監督お得意の土砂降りの雨降らしや、撮影監督、篠田昇の芸風でもあるかな少年が病棟でさまよう夢うつつのシーンや、プールでのイメージなどそこかしこに映像美にあふれた作風。
 老人の死への少年たちの無垢なる興味から始まった交流。やがて深い絆が生まれるも、やがて当初の興味の対象であったはずの老人の死に涙ながらに直面する少年たち。しかし老人の死は少年たちとの出会いによって特別なものとなり昇華されていく。死生観にじみ出た複雑で重みある後味の作品

 少年たちと老人との交流は、老人が少年たちの死に行くものとしての興味の対象となったことから始まる。草ぼうぼうのあばら屋に住む変わり者と呼ばれる老人はやがて死んでいくのだろうと少年たちは毎日のようにノゾキ見し、揚げ句塀を乗り越えて老人と遭遇。最初は老人に追い払われるものの次第に老人が少年たちを受け入れるようになり始まる蜜月の日。時は夏、老人は少年たちとの出会いで生命力を甦らせる。少年たちに庭の草を抜いてもらい、家のほこりを払い、破れた障子やガラスを直し、室内のしつらえを新しくする。そして少年たちは興味のままに老人の過去、戦争時代や昔の結婚の話を聞こうとするが、それは老人の古い傷を掘り起こすことになってしまった。少年たちは老人がその昔結婚したまま、戦争に駆り出されそのまま会っていないという相手の女性を探し出すも、時同じく老人は死んでしまうという皮肉な引き合わせ。

 老人役には三国連太郎でほぼ演技素人であろう少年たちとの交流模様に真実味与える重要な存在感示す

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2008年05月31日

画期的フラッシュアニメで映画版

鷹の爪 THE MOVIE 〜総統は二度死ぬ〜
FROGMAN
08.0530takanotume.jpg★★★☆☆

 ヘタウマでキモキャラ達が画面に踊る異色のアニメ映画。内容ほとんどパロディと小ネタで充満の脱力具合が愉快痛快。
 当初あまり気にも留めてなかったが、映画版が地上波オンエアで試し観すれば、それなりの作りで見ごたえ少々。全編極めてローファイな作りなれど、ダウンビートなハイテンションさ続く本編。このテンション、最後の方になるとさすがに飽きるが、まあ悪くない

 全編ウェブ仕様のフラッシュアニメで作画、声など自作自演。ネットで話題のFROGMAN、映画本編進出第一弾は、世界征服を狙う秘密結社、"鷹の爪団"の面々が引き起こす大騒動。
 総統以下5人で構成された"鷹の爪団"は家賃滞納の為、家を追われ大家さんからデコトラックにて逃走。勢い余って宇宙空間に飛び出し途方に暮れるも宇宙ステーション"ピースボール"に保護され、以降その宇宙ステーションにて奇想天外なストーリーが展開する。

 本編は2部構成になっており、最初に『古墳ギャルのコフィー〜桶狭間の戦い〜』なる別ストーリーが展開。桶狭間先生がなぜ落武者になってしまったかを、古墳ギャルのコフィーらがタイムスリップして探る歴史もの。意外につじつまがしっかりしてる。
 続いて『鷹の爪』だが、冒頭で本編中画面右サイドに、制作過程での予算の残量がゲージで記されるとアナウンスされる。いきなりの楽屋オチで意表を突かれるが、オープニングにてゲージは半分に。CG取り入れた気合いのオープニングで予算を半分を使いきったとのネタ
 フラッシュを映画化した革新的ムービースタイル

 新作『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II 〜私を愛した黒烏龍茶〜』が今日5/31公開と

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FROGMANインタビュー

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2008年05月29日

モンティパイソン、人生の真実を超戯画化

モンティ・パイソン人生狂騒曲
テリー・ジョーンズ
08.0528MontyPython.jpg★★★☆☆

 老人パイレーツ軍団がインテリジェントビル強襲に、精子の偉大さを高らかと子供らが歌い上げるミュージカル、生徒の前で性技実演の教室に、生きながらの肝臓摘出のスプラッター、レストランでゲロ吐きまくりなデブ紳士大爆発などとトンでもムービー総結集のモンドシネマ。おバカでエログロ、アンタッチャブル。相当危険なオムニバス映画、モンティパイソン劇場最終作がNHK-BS奇跡のオンエア。
 今作は過去に何度か観てるはずだが、余りの崇高なるバカバカしさからか記憶が吹っ飛んでしまってたが、観ながら甦る今作の偉大性。人生の意味とは何か追求の小作品連続でものすごいパワー発散の問題作。作られたのはおよそ25年前。今日のお笑いギャグ系エンタの原点築く重要作品。

 オムニバス式ながら全体を通じての狂言回し(水槽の人面魚)やら、微妙にストーリーが入り交じる構成が意外性あって逸品。映画の中間点として、小スケッチ入って、これは魚探しゲームとなるが、内容丸っきりくみ取れないおバカシークエンス。
 今作はブリティッシュインテリギャグ集団、"モンティパイソン"、その後のメンバーの死去により最後の作品となった金字塔。準メンバーのテリー・ギリアムも監督として冒頭の老人パイレーツのショートムービーを担当、お約束広角レンズ炸裂の特撮スペクタクルで豪華な前座担う

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2008年05月21日

艶めかしやかで奇抜な少女映画

エコール
ルシール・アザリロヴィック
08.0520Innocence.jpg★★★★☆

 純白の制服を身にまとった少女たちが戯れの耽美な世界観。白いミニスカートから伸びるか細い足がまぶしくも甘酸っぱく画面を彩る超越至極のユートピアか、あるいは女児幽閉の禁断の館か。状況が余り説明されないことで観ながらに様々な想像が広がる。「ここは何処?」「少女たちは何者?」。その思いは映画の冒頭でこの世界にやってきた(他の少女たちとは肌の色が違う東洋系の少女)イリスの視点と同化し、徐々にその背景が明らかになって行く、またはその世界観に慣れ親しんでいくことになる。
 本編の頭と尻に画面いっぱいの水流のイメージが広がる。ファンタジーをアバンギャルドな作風で描いた艶めかしやかで奇抜な作品。独自性に充ち満ちて観る価値充分

 深い森の閉鎖された区域で寄宿舎生活を送る少女たちの物語。イリスは棺桶に入れられてこの世界にやって来た。見知らぬ少女6人が見つめているが同じ寮の少女たちであると後で知る。髪に結ばれるリボンは1歳年上のセルマから譲り受けるもの。年期ごとにつけらるリボンの色が違う。イリスは、この場所が少女のみが集められバレエや生物のことを習う学校(エコール)であることを知る。別の寮に住む同じ赤リボンの少女ローラと友達になるが、外の世界への脱出を試みたローラは死して帰り火葬される。イリスは家族恋しさに外の世界を夢見てたが、外に出ることへの恐怖が植え付けられあきらめるしかない。
 少女たち以外は先生として2人の成人女性がいる。少女たちは蝶の羽根を模した衣裳に身を包み観客の見えない舞台でバレエを披露する。そして最年長は最後の舞台を踏み、地下電車にのり外の世界へと旅立つ(卒業)ことに

 監督は女性監督で長編2作目。映画は公私にわたるパートナーである映画監督のギャスパー・ノエに捧げられてる

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2008年05月05日

狭い画角で描く女子再生の物語

ミレニアムマンボ
侯孝賢
08.0504Millennium.jpg★★★☆☆

 台湾の巨匠、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)が『珈琲時光』の前、01年に撮った台北の若者風俗を捕らえた小品。ヒロイン、ビッキーが同棲相手の男、ハオの嫉妬深さや自堕落な性質にあいそを尽かし、年上の包容力ある男、ガオに魅かれその男の元に身を寄せる、といった本線。女性(ビッキー)の回想録として語られる仕掛け

 特徴的なのは(この監督の芸風でもあるが)部屋の場面など、少し離れた視点から狭い画角(アップショット)でもって長回すカメラ。ドキュメンタリスティックな演出法はそれだけで圧倒的な力を持つ。極彩色に彩られ、時折それらがピンボケでなめられる美術設計も劇的。2人の暮らす部屋やクラブでの蜜月の日々から時が経ちケンカがちになり倦怠を迎える男女関係普遍の移ろいを刻む。ビッキーは男の暮らしから脱するため外の世界を求め。ついには頼りがいのある年上の男ガオを見つけ開放を得る、のだが‥

 本編中、クラブで出会った男友達とその人の第二の故郷である北海道・夕張に行き雪と戯れる、とか。年上の男ガオを追って東京・大久保のホテルに佇んだりと、日本でのロケシーンが多く出てくる。ラストは再び夕張が舞台となり、映画の街であることを示すかの、商店街にかけられる日本映画のレトロポスターを次々なめる視点。監督の日本映画への敬愛の情がかいま見られる

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2008年04月22日

ラスト殴り込みシーンに清純美学

刺青一代
鈴木清順
08.0421irezumi.jpg★★★☆☆

 筋書きなんてことはないヤクザ映画だが、美的なこだわりを持つ監督、鈴木清順ならでは画づくりが印象深い今作
 高橋英樹演じる渡世人、鉄太郎が繰り広げる物語ラストでの殴り込みシーンに清純映画特有の美学が散見。唐傘片手に一人急ぐ道行き。相手の屋敷に着いては開けども開けども続くふすま。格闘シーンをフカンでとらえダダ広い畳の間を背景にしての殺陣がスポットの中に浮かび上がる。フカンかと思えば今度はアオリ。相手組長の槍との格闘では真下からのカメラ。これはガラスを畳に見立てた特殊撮影。最後土砂降りの雨の中、組長と相打ちになり、相手の刀は鉄太郎の衣1枚。その衣はらりとはだけ背中の刺青がフル画面でとらえれる、などと全ては様式美で作り込まれた殴り込み。

 昭和の初め、東京下町のヤクザ鉄太郎は親分の命で敵対相手を刺すも同じ組より口封じの手がかかりこれを弟が返り討ちし、2人は流れ身に。裏日本にたどり着いては満州への旅費をだまし取られ土木作業員となる2人。飯場では弟が社長の妻に惚れ、鉄太郎は社長の妹にほれられダブルの恋模様ひとしきり。やがて組はヤクザまがいの商売敵のプレッシャーを受けると共に自分らも警察の追っ手が迫り窮地に。そんな中、相手方に捕らえられた社長の妻を救うべく弟が相手の組に乗り込むも討たれて死に、鉄太郎立ち上がりラストの殴り込みへ
 鉄太郎に惚れる活発な女子役に和泉雅子ではじけた魅力放つ

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2008年04月17日

硫黄島決戦の真実を語る

硫黄島からの手紙
クリント・イーストウッド
08.0416Iwojima.jpg★★★☆☆

 戦闘シーンはそれなりリアルで迫力に満ちているが、全体を通じ淡々とした静かな空気感で貫かれてる。テイストは地味だが味わい深さは並でない。その実とてもリアルで現代的な戦争映画。

 「決して死んではいけない」。指揮官、栗林中将(渡辺謙)の型破りな物言いは、周囲の反発を招くが、その物言いに対し一兵卒の身ながら深く共感し戦場の怒濤に身を置く西郷(二宮和也)がいて、観客は彼とともにこの戦場を疑似体験することになる。事態が思わしくなくなると玉砕(自殺)を強要する上官がいてそれは当時スタンダードであるはずだけど、栗林中将の考えは違う、生きて家族のために戦えと。本土に残した妻のため、そしてまだ見ぬ子どものため生に執着を燃やす西郷。共に戦う同士らが目の前で次々と戦死する中で西郷は虚無感にさいなまれながらも最後まで生き抜き栗林中将の戦功を目撃することに

 第二次大戦時下、小笠原諸島の南、硫黄島で繰り広げられた日米決戦の模様を、日本兵士側の視点で描いた戦争伝記スタイルの回想録。監督イーストウッドは硫黄島2部作として今作の他、米兵側からの視点のモノも撮っているが未見。
 タイトルが示す通り従軍兵士らが家族へ向けた手紙がモチーフに取られ、在りし日の回想が折り込まれるセンチメンタリズム。米軍が日本本土上陸をためらわせるきっかけとなったといわれる硫黄島での日本軍の徹底抗戦の様子をリアルに再現

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2008年04月10日

南ア格差社会の現実を刻印

ツォツィ
ギャヴィン・フッド
08.0409Tsotsi.jpg★★★☆☆

 当たり前なのだが、構成もルックスもしっかりした映画。室内やナイトシーンが多く、美術、照明とも丁寧に設計されてる。舞台となった国、南アの監督により南アで撮られたらしいが、ハリウッド映画といわれても疑うことはない。それほどこなれた映画になっている。その部分意外だったのだが、普通のまともな映画という意味では余りインパクトは感じなかった。もっと過激で荒い画質のリアルなモノを想像していたからか。

 仲間と街をたむろし悪事を働くダウンタウンのチンピラ、"ツォツィ"がとある強盗のおり赤ん坊を拾ってしまうことになり共に暮らすうちに自らの良心が芽生え始める、といったストーリー。ツォツィらが闊歩するスラムと強盗に入る邸宅の豪華さの対比は、「世界一の格差社会」といわれる南アのリアルな現実を切り取ったものであろう。その部分とても社会的側面の強い映画。
 赤ん坊を拾うきっかけとなった強盗は件の豪邸に車で帰宅中の女性を狙ったもの。女性を銃撃し車を奪って逃走、中に赤ん坊が残されていたという寸法。ツォツィは迷った末に赤ん坊を連れ帰り、世話をするが、乳をやらねばと、育児中のある女性の家に押し入り授乳を強要。女性が乳を与えている間、自らの幼少期、母親の姿、ストリートチルドレンになるきっかけとなった父親の暴力など走馬灯のように振り返ることに。
 展開のわかりやすい演出である。06年のアカデミー、外国語映画賞も受賞。その後今作の監督はハリウッドに招かれ、豪華キャスト出演の新作『Rendition』を撮り上げてる

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2008年04月05日

日本一シリーズ初回でモテ男

日本一の色男
古澤憲吾
08.0405irootoko.jpg★★★☆☆

 植木等演じる無責任男、源氏物語の光源氏にあやかり現世のモテモテ男の設定。モテ男に魅せられる豪華女優陣の出演が今作のウリで、クレージー映画おなじみ団令子はじめ草笛光子、白川由美、淡路恵子、浜美枝らが次々にC調な化粧品セールスマン、光等(植木等)の口車に乗せられるとなる。光等にとってはセールスを上げるため利用するにすぎない女達。彼女らを踏み台に底なしのバイタリティと舌先三寸で稼ぎまくる光等。
 
 「日本一の○○男」シリーズの初回。それまでの植木等主演無責任男シリーズと違い、主人公にとある目的のために金を稼がねばならないという状況設定がされている。その関係で、女達を言いくるめるさ中、胸ポケットから写真を出して拝むシーンがことあるごとに挟まれることとなる。無意味に無責任ではなく無責任が手段であったりする今作。そして最後のオチにつながるわけだが、ここでは意外な結果となる。

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2008年03月31日

家族崩壊と一抹の光

蛇イチゴ
西川美和
08.0330hebi.jpg★★★☆☆

 家族崩壊の悲劇を、悲しみのタッチをというよりはどこかおかしみのあるコメディを感じさせる演出で描いた家族劇。
 祖父の死をきっかけに父親の多大な借金が明かされ絶望的な状況の家族を、それまで家族から疎んじられ姿を消していた長男が救うやるせなき状況。ギリギリの状況に立たされた中でにじみ出た家族間でゆれる気持ちの発露をおかしみを持って描いてる。実際にありがちなふとしたきっかけで勃発した家族間憎悪と派閥形勢の「現場」。醜くて情けないどこか憎めない家族の肖像。そして最後に一抹の光

 西川美和監督、28歳の時のデビュー作で、2作目のヒット作『ゆれる』と同様、肉親の間での生々しい気持ちの葛藤を描いた怪作。

 つみきみほ演じる小学校教師を長女に、ごく普通のサラリーマンの父(平泉成)と母(大谷直子)。痴呆の祖父(笑福亭松之助)を抱えてつつもありきたりで明朗な家族生活を送っている。かに見えたが、父はリストラで求職中の身である他、それを家族に取り繕うために借金まみれになっており取り立て屋に迫られる毎日であることが観客に明かされる。さらに父に勘当され行方をくらましてた長男(宮迫博之)は香典泥棒の身。これが、祖父の死によって結ばれる。たまたま葬儀で「仕事」をしていた長男は、祖父の葬式に出くわすことに。出棺のおり、借金取りが父の前に現れ全てをぶちまける、そこに現れたのは長男で弁護士を装って事態を解決。さらにその日の夜家にやってきた取り立ても持ち合わせてた現金(香典)で家族を救うとなる。残る借金の清算も算段し瞬く間家族の救世主となる長男だが、長女は長男のたくらみを見破っていく、との流れ

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2008年03月25日

タチ主演、ルネ・クレマン処女作

左側に気をつけろ
ルネ・クレマン
08.0324Soignetongauche.jpg★★★☆☆

 初期チャップリンものでみたボクシングに通じる古典的コメディだが、ジャック・タチが演じることでこうもおしゃれで小粋なフィルムになってしまえる不思議さ。

 『ぼくの伯父さん』のユロ氏のキャラクターでおなじみジャック・タチの若き日の主演短編映画。ひょろりと長身でどこかとぼけたおかしみはこのころから際立ったキャラクター確立してる。素人がボクシングをしたときをモチーフにしたコメディだが、パントマイム芸人出身のタチが、全編ほぼセリフ無しのアクションのみで笑わす愉快な小品
 監督は『禁じられた遊び』ほかで知られる巨匠、ルネ・クレマンが担ってるが後の作風から考えればこの映画の脱力感覚は意外。ほぼ脚本・主演のタチが主導して撮ったと考えられるか

 舞台はどこか農村。田舎ボクサーとそのマネージャーは莫大な懸賞金のかかった試合を前に練習しようとするも、スパーリング相手が倒れてしまって練習が進まない。方やそのボクシングの練習を見てシャドーボクシングをして遊ぶ農夫(タチ)。これに目をつけたマネージャーは農夫をスパーリングに抜擢。農夫はリングに上がるとボクシングのマニュアルをみながらボクサーの相手となるが‥

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2008年03月04日

せわしなき中華料理屋コメディ

駅前飯店
久松静児
08.0303ekimaehanten.jpg★★☆☆☆

 駅前シリーズの第五作で『駅前飯店』。
 レギュラー出演、森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺の“駅前トリオ”が全編怪しげな中国語なまりで騒動繰り広げ、場面を次々変えてのショートコントが延々と繰り返されるといった展開。「駅前シリーズ」は初めてまともに見たが、なにげにこざかしいノリに正直ついていけなかった印象。それでも出演者はオールスターキャストといえる豪華なもの。準レギュラーの三木のり平、淡島千景。さらに乙羽信子、池内淳子、森光子、淡路恵子、沢村貞子、大空真弓、高橋元太郎、山茶花究ほか、当たり前にみんながみんな若い!。ゲストになんと王貞治が出演。ちょこっと1回出るのみかと思いきや、全体で3回は出てきてた。実家が中華料理屋というつながりナノだろうが、ちょっとした騒動に顔を出す設定のシーンではケンカの仲裁という軽い芝居もこなしてる。

 本筋を支える“駅前トリオ”の3人芸、ほぼ舞台芸のそれをそのままパッキングしたよなイキの良さを伝えてる。昭和30年代のノスタルジックな雰囲気も味

 中華料理のシェフ徳(森繁)と料理屋経営の孫(伴淳)、貿易商の周(フランキー)の3人は共同して駅前に大飯店を建てる計画を練り、占い師に見てもらうも、話を聞いた占い師夫婦に謀られて仲間割れの危機に。さらに周の父親が不老長寿の酒の文献を日本に残していたという話を聞いた3人はこれを財源を見込み探し始めるもまたも件の占い師に見てもらったために話が複雑化する

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2008年02月16日

陰影とスケール感ある装いの文芸映画

オリヴァ・ツイスト
デイヴィッド・リーン
08.0215olivertwist.jpg★★★☆☆

 モノクロ映画による陰影の濃さを存分に活かし冒頭からおどろおどろしい始まり。映画全体がドイツ表現主義を彷彿とさせる迫り来る影による恐怖の表現やどこかパースの狂った舞台セットのような美術設計など、映画でいう前時代的な作りを当時のテクノロジーを駆使して甦らせたであろうと思しき画づくりになっていて印象的。スケール感も並でないが、ことラストシーンの捕物ではおおよそ何百という人々がロンドンの細道を駆け犯人を追いつめる大スペクタクルを展開してる。

 ディケンズ原作の文芸作品『オリバー・ツイスト』の巨匠、D・リーンによる映画版。みなしご、
オリバー少年の波乱に満ちた少年時代の話としてメジャーだが、長編小説をここまでコンパクトに何不自然なく収めた意味でも貴重。
 キャストとしては、『スターウオーズ』のオビワン役でメジャーなアレック・ギネスが少年スリ集団の親玉役として出演。魔女ライクな大げさなつけ鼻で怪演してる。
 オリバー少年役のジョン・ハワード・デイヴィスはこの映画のために選ばれたらしいが、その後演出へ転向し『モンティパイソン』や『Mr.ビーン』のTV版を手がけていると。

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2008年02月11日

後半から意識が遠のくカオスコメディ

パビリオン山椒魚
冨永昌敬
08.0210pabirion.jpg★★☆☆☆

 オダギリジョーと香椎由宇主演でカオティックなミステリコメディ。
 先頃結婚が発表されたオダギリジョーと香椎由宇だが、今作での共演がきっかけになったらしく、そこいらの興味目線で見る観る以外にあまり見どころがなかったよな‥。始まりから混とん度合いがパワーアップ中盤以前までは、ゆるさ不思議さそして少しの緊張感がいい具合にからんで吸引力あったのだが、中盤以降ほとんどついていくことが出来なかった。実のところ「ながら観」をしてたのだが、中盤以降丸っきり、映画への意識が遠のいた。
 監督は自主制作の短編モノが評価され今作で長編デビューとなった冨永昌敬なる人。相当な個性派らしいが、今作はどうにも中盤以降の散漫さについていけない

 話としては流しのレントゲン技師が、国宝のオオサンショウウオを管理する財団とその一族の末娘に出会い、これに当のオオサンショウウオの真偽を疑う組織がからんで小競り合いがあり、末娘の母親に関する秘密があばかれようとするなど。

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2008年02月04日

母との思い出をつづる映像美

青幻記 遠い日の母は美しく
成島東一郎
08.0203seigenki.jpg★★★☆☆

 大島渚の映画など担った著名な撮影監督、成島東一郎の監督第一作。撮影監督ならではのとことん映像美にこだわった幽玄な作風。色彩と構図の美しさは並で無し。そして構成のスタイルも、主人公の過去と現在が交錯し、時にその時を隔てた同じ人物が同じ画面に現れるなどの仕掛けもありで見どころ多し。

 奄美諸島、沖永良部島を主舞台に母との思い出をたどったある男の回想録。東京から30年を経て島にやってきた。若くしてその地で死んだ母は若く美しく、島人たちにも人気があったが、病弱で病が移ると自分を抱いてくれはしなかった。少年の時、幸薄い母と過ごしたカゲロウのような思い出は、島の老人との語らいの中でさらに鮮烈に甦えることになり男の胸をしめつける。母の最後は2人で楽しく磯遊びをした日の夜のこと。潮が満ち岩場に取り残され、持病のため動けない母にさとされ誰かを助けに呼ぼうと一人で陸に向かうも、振り返れば母の姿がない。その後の母の死を認めきれない少年は、ゆた(霊媒師)の仲立ちで再会を果たす

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2008年01月17日

『どろろ』映画化の限界

どろろ
塩田明彦
08.0116dororo.jpg
★★☆☆☆

 美術的な部分の妙な中華風味に違和感を感じてたら、戦闘シーンでいきなりのワイヤーアクション。アクション監督に『少林サッカー』などのチン・シウトン招き香港映画さながらのアクションシーン満載で豪華絢爛、という寸法だろうか。ワイヤーアクションはまだしも数々現れる妖怪どもの表現が効果としては発展途上のCG多用。時代が進めば時代遅れに見えてしまうであろう微妙な出来に更なる違和感を感じ続けることに。題材そのものが、こってり和製フォークロア、魑魅魍魎、跳梁跋扈のダークストーリーゆえに極めてハードルの高い原作に挑んだ意欲作であろうものの、微妙な印象はぬぐえない。邦画テクノロジーの限界を見る思い。それでもラストシーンでホロリと泣かせる部分もあった。出演者、百鬼丸に妻夫木聡で全編うつむき加減の渋みある芝居。これはどろろ役、柴咲コウのはじけたキャラとの好対照となるが、主人公としても少し引き立っていてもよかったと。そういう意味で柴咲コウが終始目立った作りになっていたがこれもいまいち存在感薄し

 手塚治虫が生みだした不朽の名作漫画の映画化。映画化にあたり原作のエッセンスを整理して脚色。
 戦国時代、日本のどこか。体中の器官が無く肉塊の様な子どもに生まれついた男の半生記。その男の父は魔物たちとの取引をして、自分の子どもの体中の器官と引き換えに戦乱期における権力を獲得。子ども(百鬼丸)はとある医師に拾われ目鼻、手足など仮の器官を与えられて育っていくがやがて独り立つ。百鬼丸は次々に魔物が襲う運命にあり、魔物を倒すたびに一つ一つの足や手など自分の器官が取り戻されていく流れ。旅の途中で男装の盗賊、どろろ(柴咲コウ)と道連れになる。幾体か魔物を倒していくうちに今は権力者となっている両親、弟との対面に行き着き、そのまま因縁の対決となるが

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2008年01月14日

70年代アメリカの混とんを刻む群像劇

ナッシュビル
ロバート・アルトマン
08.0114Nashville.jpg★★★☆☆

 wowowオンエアを録画して観賞。しかし何回みても同じ時点で眠ってしまう不可思議な揺らぎ感覚がある作品。退屈とは違う、ある種のここちよい感覚。なんのストーリが進んでいるかわからないうちに自然意識が遠のくような。
 アルトマン監督の得意とする群像劇の代表的作品であるとは見終わった後に知るが、とてつもなく混とんとしてる映画である。主要と思しき複数のドラマが並行して進む中で人物それそれが交錯し時に一つの舞台に集結する。綿密なプロットで構成されたものナノだろうが、なにげにユルく、言葉多く、もたれ気味の感覚。決して不快ではないのだが、それこそ「微妙」な印象。混とんとしつつも70年代当時の空気感が真空パックされたよなリアルな感触もある

 舞台は音楽の都、ナッシュビル。とある大統領候補の選挙戦キャンペーン、そして全米で放送されるカントリーミュージックの祭典“グランド・オール・オープリー”などのイベントが重なり大勢の人が集まってくる中でそれぞれのストーリがもそもそと回転していく。大御所カントリー歌手のレコーディング風景。選挙戦キャンペーン。有名女性シンガーがやって来るなりこけてケガして入院。幹線道路では主要な登場人物が大渋滞に巻き込まれた状況でだらだらとしたやり取りをする。そんな中(これは終始出てくるのだが)選挙カーによるアジテートがこだまし。歌手志望の女性が都会を目指す。おせっかいなBBCのレポーターはインタビューと称して有名歌手に接近し、里帰りした尻軽娘の家では怪しげなバイオリンケースを持つ青年が下宿をはじめ、唖の娘を持つコーラス隊の女性はイケメンシンガーと不倫。歌がヘタな女性は色気で売り出そうとするも選挙戦に利用されるだけ。など‥
 ラストでカントリーフェスティバルで登場人物皆が参集する。そしてケガから復帰した歌手をめぐりとある事件が起るとなるが‥

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2008年01月09日

じわりとにじむ静かな激情

武士の一分
山田洋次
08.01.08ichibun.jpg★★★☆☆
 
 終始静かなトーンつづられる。田舎武士たちの静謐なる生活から切り取られた一事件を取り扱う中で、じわりとにじむ激情が浮き立つように刻み込まれる。監督山田洋次、藤沢周平原作小説の映画化シリーズ第3段は、凛とした武士の生活をリアリティを込めて描き込み、深い感動を生みだすことに成功してる。
 封切りから1年を経てのTV地上波オンエアで観る。映画の興業成績は松竹配給での歴代最高記録、41億円超えを記録したと。

 妻の不貞に悩み、苦しみの果ての果たし合い。

 江戸末期、東北の小藩での出来事。主人公(木村拓哉)は毒味役という地味な役務の下級武士。冒頭のほのぼのとした静かな日常から一転、失明の災に遭う田舎武士。その日、同じく役務の同僚らといつも通り和やかに毒味業務。いつも通り何ごとも無しと思われた刹那、ばたりと倒れる主人公。貝の毒に当たった由。主人公失明にて、それまでの妻(檀れい)と下男(笹野高史)と3人での静かな暮らしが主人公の視界の如く真っ暗闇に。このアクシデントを境に映画のムードが一気にシリアス化する。盲目の武士は自死を望みそれを食い止めた妻はその後、生活の憂い、また親戚からの後押しにより苦渋の末に夫の上司に世話(愛人)になる道を選ぶ。やがて夫はそれを知り、離縁を突きつけ、敵となった上司との果たし合いを決意する

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