2008年07月19日

たい平&愛楽の爆笑落語会

寄席井心亭 数えて百五十八夜 文月
柳亭市丸『転失気』
林家たい平『たがや』
三遊亭愛楽『厩火事』
林家たい平『薮入り』
08.0718mitaka.jpg★★★☆☆
 
 三鷹市主催の定例落語会、7月、主席はたい平で夏の演目『たがや』に『薮入り』。
 たい平落語、生は2回目で、初回は楽太郎ら先輩に混じっての出演で相当イキのよさを見せつけてたのだが、今回の共演は若手ということでか、いささか落ち着きある風情。それもちょいとお疲れの様子で、枕で何ごとか、言おうとしてたこと忘れてしばし思い出しのひと時あり、そしてラストの噺も丁稚奉公の息子を迎える両親のちぐはぐな騒動ぶり描いた『薮入り』で、枕にはその日14歳の少年がバスジャックした事件とからみ、しんみりと世情を憂うひと時も。
 その辺、共演の愛楽が好対照の楽天ぶり見せつけ笑えたし、最後出演者3人が出てのトークでは、笑点での裏話。愛楽はザブトン運び山田君のアシスタントでちらちらテレビ映りしてるどうりで見覚えのある顔。司会の歌丸欠場の際、司会をした、たい平&昇太の時のことをひとしきり。昇太の司会ではかつ舌が悪くてザブトンを「持ってきて」なのか「取って」なのかがわからなく大混乱だっと。
 たい平&愛楽の爆笑トークでもりあがった落語会in井心亭

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2008年06月08日

志らく『鉄拐』の逸芸

立川談志 立川志らく 親子会
08.0607mitakako.jpg


志らべ『たらちね』
志らく『鉄拐』
談志『やかん』
志らく『品川心中』

 談志志らくの親子会@三鷹市公会堂。
 志らくは初めて見る。勢いと若さあふれる芸。だじゃれやギャグに冴えあり。見習い時代の談志との思いで話など枕で幾つか。2演目のうち、世にも珍しいという中国を舞台にした噺、『鉄拐』がよかった。トリでやった『品川心中』も軽妙だが少々中だるみ。元々それほど盛り上がる話でもないか
 突然出演することになったという志らべも勢いあり
 談志はのどが悪いということで、声がかすれ音量も出ない。痛々しいが文字通り枯れた存在感振りまいて場内沸かす。

 『鉄拐(てっかい)』はその昔、中国のとある豪商が創業記念の宴の余興に、毎年芸人呼んでいるが、その年も店の番頭が芸人探しをしてるうち鉄拐という仙人に出会い、その仙人、自分の口から自分の分身を出すという妙芸の持ち主で宴に出てもらったところ大ウケ。したらば他からも次々お呼びがかかり、しまいには寄席に出るとなるが、寄席となると毎日出演があるゆえしまいに飽きられ、今度はヒョウタンから馬を出すという別の芸人に立場を追われる。悔しい鉄拐はその芸人のヒョウタンの酒を飲んでしまう。するとその馬が自分の腹に入ってしまったので、腹の中の自分の分身を馬に乗せ、ついでに客も腹に入れてしまおうとなりこれで再び大入りの日々。するとある日腹の中のお客の酔っ払いがケンカを始めて暴れ出したので、吐き出してみると、李白と陶淵明(とうのえんめい)だった。
 サゲは分かりにくいと、あらかじめ志らく師匠が言ってたが、酒好きで有名な中国の詩人たち

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2008年06月07日

ロリ男の奇跡の脱力ミュージカル

ロリータ男爵
『プリマ転生 Waltz of the Flowers』
作・演出:田辺茂範
08.0606loli.jpg★★★☆☆

 もう何もかもグダグダ。バス事故で幽霊と化したバレエ教室の面々のドタバタ劇。
 バレエモチーフのダンスのグダグダ具合から、微妙なセリフの間、チープな舞台美術、うまい人もいるが妙に素人臭い芝居のアンサンブル。
 しかし、この計算し尽くされてるか丸っきり天然のままなのかわからんダメさが加減がじわりじわりといい味に変わってく感覚は今だ味わったことのない感触。まあ、(生歌とカラオケの混声)ミュージカルということもあって途中、図らずも感動さえ覚える意外な量感。すごい劇団があったものだ。超B級オフビートなオリジナルミュージカル

 バス事故の練習生達は、共に霊と化したピエール先生が、バスに乗らず死を逃れた練習生のイケメン男子、八神君を身代わりとして生き返らせてあげようとするのに乗じ猛レッスンをするが、同じ死地にいた自殺者の黒人ジャネットのダンスに魅かれるピエール先生。悔しがる生徒達。そしてその実バス事故の陰謀を企て八神君との転生をもくろみる天草四郎時貞とその一派の魔の手が忍び寄り、事故現場に訪れた八神君とバレエ教室オーナー交えて大混乱の霊界。そしてラストはジャネットの恋する店長の枕元でオールキャストによる大演舞。
 シュールな展開すぎ。バレエ『くるみ割り人形』でクリスマスイブに見た少女の夢にモチーフにとったかラスト曲は「くるみ」のラストと同じ。
 お目めキラキラ、少女マンガテイストの大げさな芝居で笑わせ、黄泉の国のおどろおどろしさで暗黒の味付け。ゴスロリ、甘辛テイストがいい感じ。
 悪の権化、天草の手下にまんま、KISSメイクの4人組。このうちのボス役、ウイスキーを口に含みライターに吹きかけてすわ火炎放射と思いきや吹くだけで何もならず、他の3人がすぐさま床の吹きこぼしをぞうきんで拭くギャグが笑わせる。床を拭くギャグといえば、天草が煙幕で姿を消すといった場面、床に投げつけた粉袋からはしょぼい白煙、一端引っ込むがすぐ出てきて、天草自身で粉袋を拾い床の白汚れのぞうきん拭き。お馬鹿な演出

 9日まで吉祥寺シアター

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2008年06月01日

真打昇進の2人にキラリ

三遊亭小遊三 春風亭小柳枝 爆笑落語会
(三遊亭遊馬 神田改メ日向ひまわり 真打ご披露)

三遊亭遊馬『佐野山』
三遊亭小遊三『蛙茶番』
日向ひまわり『間違いの婚礼』
春風亭小柳枝『船徳』
08.0531mitaka.jpg★★★☆☆

 小遊三+小柳枝の二人会に、今年5月に真打となった遊馬、ひまわりが合わさっての落語公演in三鷹。
 今回特に講談、ひまわりがよかった。秀吉の結婚秘話。足軽時代の木下藤吉郎、美人の誉れ高い組頭の娘にあがった縁談を娘が嫌がってることから破談に持ち込もうと縁談相手、前田犬千代に乗り込み見事破談にし、しかも藤吉郎自身の結婚にこじつけるまでの顛末で人情話。押し引き効いた語りがリアルで引き込まれる

 遊馬は大きな体で大きな声が芸風だが今回特にそれが活かされる相撲系の演目『佐野山』。
 前頭下位の佐野山が横綱、谷風と対戦するクライマックス、佐野山のひいき衆の掛け声が場内に響く。右手で二十文、四つに組んで三十文。横綱じゃ相手にならないと消沈する佐野山を奮起させるためひいき衆が佐野山相手に賭けをしていた。土俵上賭け声に気付いた佐野山、さらに相手の谷風もその声に気付いて面白がったりしてるうちにひょんなことから佐野山が勝ってしまう噺。題名『佐野山』は他のストーリーを聞いたことがある。色々パターンがあるということ?

 ほか小遊三は、建具屋の半公がし忘れたふんどしに気付かずに「見せびらかす」艶笑譚『蛙茶番』、小柳枝は船宿の居候となっている若旦那が慣れない船頭となって大騒ぎの『船徳』で、それぞれがそれこそ名人芸で魅せられた

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2008年05月12日

菊五郎が弁天小僧の豪華舞台

團菊祭五月大歌舞伎 夜の部
1.通し狂言 青砥稿花紅彩画(白浪五人男)
2.三升猿曲舞
08.0511siranami.jpg★★★☆☆

 「知らざあ、言って聞かせやしょう‥」でおなじみ『白浪五人男』の通し初見で、本家本元、菊五郎が弁天小僧の舞台。この演目、お嬢さん姿に扮装し呉服屋に騙りで入った盗賊・弁天小僧が追いつめられて開き直り、片肌脱いで桜の刺青を見せ付けながらの決めゼリフが見どころ。これはお家芸の菊五郎、キップの良さは天下一品。色気も勢いも衰え知らずで演じきり恒例團菊祭の華。五人衆ほかは團十郎・駄右衛門、忠信利平・三津五郎、南郷力丸・左團次、赤星十三郎・時蔵と、豪華出演も相まってこのところ出色、充実の当月歌舞伎座
 
 片肌脱ぎの「浜松屋」の場、そして白浪五人衆居並んで渡りゼリフの「稲瀬川」の場がメジャーだが、通しで見ることで全体像が分かりやすいし、他にも大掛かりな舞台美術の仕掛けがからんで見どころが盛りだくさん、お客を飽きさせない趣向に充ち満ちた演目。相当無理やりな展開であるけど、日本駄右衛門を親玉とした盗賊五人衆のアクションと人情物語の狂言

 序幕はゆっくり、いいなずけを亡くしたという姫の話。そして弁天小僧、この亡くなったはずのお武家に変装し姫の前に現れ、姫が結納品として受け取ってた"胡蝶の香合"を奪い自殺に追いつめる。するとそこに天下の大盗人、日本駄右衛門が現れ弁天は手下となる。舞台呉服屋「浜松屋」に変わり、弁天は仲間の南郷力丸と恐喝の場面。お嬢に扮した弁天は、番頭に布を盗んだと見せかけ実は他の店で買ったモノを懐に入れる芝居を付き万引きの汚名をかぶせたと言いがかり金をゆする。ここに玉島と名乗る侍が現れ場を仲裁。このあと引き上げる弁天と南郷の重い荷物をめぐって笑わせる場面と、店の金を持ち逃げしようという番頭と丁稚の子役2人と繰り広げる北京五輪ネタのほのぼのとした場が挟まれる。浜松屋の蔵前になり先の侍、玉島が実は日本駄右衛門であること露見、弁天と南郷も合流しさらに大金をせしめようと脅すも、若旦那は駄右衛門と親子(ここは海老蔵と團十郎で客ににやりとさせる場)さらに弁天と店主が親子であること発覚でいきなり泣きの場となる荒唐無稽さ。そして次、「稲瀬川」では5人が勢ぞろい、七五ゼリフをいい連ねてく"渡りゼリフ"で華やかな場。ラスト大詰め、ココからが舞台装置がすごい、極楽寺大屋根、弁天が追っ手相手に大立ち回り。ここは宙返り、屋根落ちなどやられ役のアクロバティックなスタントとのからみが見モノ。香合を川に落として窮した弁天は立ちながら切腹の"立ち腹"。すると足下の屋根がひっくり返って次の舞台が現れる大掛かりな仕掛け"がんどう返し"、さらに大掛かり屋敷など舞台全体ががせり上がり「極楽寺山門」の場が完成。駄右衛門の捕物となるが駄右衛門ゆるりとかわす。そしてラスト「滑川土橋」の場で、追っ手の主、青砥左衛門藤綱現れ、駄右衛門、縄にかかろうとするが藤綱は捕らえず幕

 もう一つ。『三升猿曲舞』はサルといわれてた秀吉が信長の前で奴相手に立ち回りをみせるのを様式化した舞踊劇。松緑がキビキビと切れ味ある踊り。後味スッキリ

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2008年05月03日

女に棲む二人の女が男を翻弄の舞台

東京倶楽部
『二人の女』
作:唐十郎 演出:菅田俊
08.0502tokyo.jpg★★★☆☆

 今回は多少軽量化の"東京倶楽部"。いつもならいささか妖艶でマッチョ、男と女の色香でむせ返るような激しい舞台繰り広げ、重量感ある舞台築いていたのだが、今回まあ、小屋も小さく、仕上がりも幾らかこじんまりした仕立て。これは番外、若手公演ゆえの力の抜き加減か。

 嫉妬に狂う女の情念が嫉妬の元となる女に乗り移って男を振り回し悩ませる。精神病棟を舞台に男は精神科医。本妻と突如現れた見知らぬ女性の間に揺れ、底なしの砂の彼方に引きずり込まれて行くよな。
 これは『源氏物語』の源氏とその妻、葵の上、そして嫉妬に狂い怨念の鬼と化す六条の御息所、このトライアングルがモチーフにとられる。いわばスタンダードなマチエルでもあるかな

 東京倶楽部、若手公演で唐十郎作『二人の女』。この本、初演した第七病棟、そして唐組以外では初めての小屋打ちとなった模様。唐十郎からの特別の上演許可。そして唐本人も期間中に観劇との噂も

 5日まで中野・MOMO

fan site

主演の櫻梨花blog

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2008年04月26日

三鷹で昇太独演会をみたか

春風亭昇太 独演会
遊雀『反対陣』
昇太『天災』『伊予吉幽霊』『崇徳院』
08.0425shouta.jpg★★★☆☆
 
 近所の三鷹芸術文化センターで春風亭昇太の独演会。TVで見るエネルギッシュで新感覚な噺を期待したが、それほどハイテンションというわけでもなく無理のないペースで進行。

 開幕、私服でのおしゃべり。これは最近出た芝居『ガマ王子VSザリガニ魔人』についてひとしきり。楽屋の雰囲気が良かったと。落語の楽屋は殺伐としてると笑いをとる。

 噺はまず、昨日の深夜に昇太から電話がかかってきて出演となったという三遊亭遊雀がゲスト出演。車やと客のおかしなやり取りを飛び跳ねながら噺す『反対陣』を躍動感充分に披露。
 続いて昇太登場で、女房に手を上げた短気な八五郎が何ごとも天から降った災いと受け止めよと長老に諭される『天災』。この後、おもむろに袴を脱ぎ始め生着替えタイム。独演会で評判を取っていて続けていると
 続き噺は新作落語の『伊予吉幽霊』。遭難して死んだ伊予吉、自分の母が心配で成仏できず友人の仲介で母親と再会の幽玄なストーリー。
 中入りを挟み「瀬をはやみ 岩にせかるる〜」の歌で結ばれる若旦那と娘の噺『崇徳院』で、かすかな小声で「こいわずらい」の若旦那の物言いが面白い

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2008年04月20日

国本武春、ハイパーなネオ浪曲in三鷹

もっともっと国本武春  三味線エンターテインメントの世界
国本武春
08.0419takeharu.jpg★★★☆☆

 今でいう浪曲といえば"国本武春"。テレビでも露出の多い彼のライブが三鷹で見れるということで見てみた@三鷹芸術文化センター。テンション高すぎ、まさしく三味線でここまで広げたかの究極のエンタテイメント。

 それはそれは丸っきり型破りなものだろう、いわゆる、うなって物語を聞かせるノーマルなものはほとんどなし。あってもごく短く見せるのみ。基本は三味線弾き語りで歌って物語を聞かせる。浦島太郎が初っぱな。次第に観客を巻き込むステージに。そこは元来の浪曲『瞼の母』のひと節、浪曲師舞台に上ってから歌い始め、盛り上がりまで一連の観客が入れるべき合いの手(掛け声)を講座する。浪曲師入って「待ってました」、三味線弾き始めて「待ってました」「たっぷり」、歌い始めて「大統領!」など入れるタイミングを伝授。そして『忠臣蔵・討ち入りの場』では、観客に拍手ならぬ、右手を左手に打ち受けて鳴らす"クラップ"を要請。ピンクレディの「ぺッパー警部」みたいなフリ付けで「アコ〜、ロウシッ!」のフリを観客全員参加で促す。曲調はファンク。三味線でファンクも何もないはずなのだが、気分はまるでゴスペルライブ。音楽のあらゆるジャンルをボーダーレスにアレンジメント。
 見事なミクスチャ、ネオ浪曲

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ZAKZAK

e+(ライブ映像)

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2008年04月13日

ポツドール2回目でインパクトなし

ポツドール vol.17 『顔よ』
作・演出:三浦大輔
08.0412potu.jpg★★★☆☆

 ポツドール、2回目の観劇で新作、本多劇場公演。
 前回は番外公演扱いだった三鷹での『人間失格』。リアルコンタクトな感情のぶつかり、怒り、暴力、セックスの劇演出は、噂にたがわぬ強烈なインパクトを自分の中に残したのだが、今回はそれほど残るものはなかった。むしろ中盤以降飽き気味ではあった。過激さ、リアルが徐々に自分の中で空回りし嘘っぽく見えて、引きつけられない。前回と丸っきりノリだったか。いや出演の人数も物語の濃さも違う。4つの部屋での出来事を同時に見せ、セリフも時にかぶり同じワードをシンクロさせる趣向の今回の構成は、複雑さと緻密さで前回とは重量感が別物。それでも魅せられなかったのは、4つの部屋(=4画面)マルチ構成の弱さか。

 タイトル『顔よ』にあるよう人の美醜をめぐる人々の赤裸々なやり取り。普段思うことがあれど決して口に出せぬよなセリフがぽんぽん飛び交う。そういう意味でのイタ気持ちよさは並でない。アンタッチャブルで痛快な風刺劇である。なのだが‥。まず最初に出てくる話、学生コンパで酔っぱらっての王様ゲームで顔を焼かれた女子がおりその償いに毎日謝りに来る顔焼き当事者の男子、この設定にまずリアルを感じなかった。そんなことあるのか?と。そこいらは世代間ギャップもあるだろうが‥
 4つの部屋右下の枠、貧乏下宿人の部屋、さえない醜男フリーターとその彼女の部屋にリアルさあり。

 2008年4月4〜13日@本多劇場

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2008年04月12日

コクーン歌舞伎。過剰の骨頂

コクーン歌舞伎『三人吉三('07再演)』(wowow ON AIR)
作:河竹黙阿弥 演出・美術:串田和美
08.0411kitiza.jpg★★★☆☆

 歌舞伎メジャー演目『三人吉三』初見にてコクーン歌舞伎。去年('07)12月オンエア録画したのをやっと観る
 三人の悪党が織りなす愉快痛快な盗賊劇かと思いきや、その実、名刀“庚申丸”をめぐる人々の血塗られた定めを追った暗黒劇の様そう。
 これを勘三郎主宰、串田和美演出の"コクーン歌舞伎"、シンプルな舞台美術ながら各所に見せ場を設け、例えば、役者陣が桟敷客席の中を割って入ってお客のそば、というよりお客と肌すり合わせての芝居。これは他で観られない。オンエアで意外と狭く感じた1階桟敷に狭めな花道が2本。桟敷と座り客席を隔てる通路が横に走り、この3本の通路、さらに桟敷内と縦横に使いこなして、観客との一体感を創出の演出は見どころ。
 中盤から夜のシーンが多く舞台上にしつらえられた池に橋がわたされ、その上でスポットで浮かぶ役者たちも鮮烈である。この池は回り舞台にもなっており、名ぜりふ「月もおぼろに白魚の、かがりもかすむ春の空〜」の部分、舞台ゆっくり回転で女装のお嬢吉三(福助)は最初振り袖の後ろ姿から次第に顔を見せてく仕掛け。
 ラスト雪の場面、ここではお嬢吉三が「やぐらのお七」を見立て火の見やぐらの上の太鼓をたたこう追っ手を蹴散らし、はしごを昇ろうとする段が個人的には印象的だが、何といっても、紙吹雪、否、もはやドカ雪降らせまくり過剰な美術演出が感動的である。

 3時間越えの芝居だが、これまで過剰な演出であれば飽きも無いもの。セリフも聞き取りやすく、歌舞伎をいかにわかりやすく見せようと配慮した演出が心憎い

歌舞伎美人

wowow

シアターガイド

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2008年04月04日

野田芝居、進化の暴力の連鎖劇

NODA・MAP番外公演『THE BEE』(wowow ON AIR)
作:野田秀樹・コリン・ティーバン 演出:野田秀樹
08.0403bee.jpg★★★☆☆

 これまでの野田芝居とは一線を画すある意味リアルな芝居だったような‥。
 夢とロマンのおとぎ話を多大なレトリックでコーティングしてつむぐアクティブな劇空間が本来だとすると、今作に夢の要素は見当たらない、そういう意味での「リアル」である。これまで感じてた物足りなさが埋まったような気がする

 本来被害者であったはずのしがないサラリーマンが主人公。家族が人質にとられた男のとった道は誰もが考えもつかない狂気の加害者としての変態化。最大の防御は攻撃であり報復であり、誘拐犯との駆け引きの中で暴力の連鎖を繰り広げる凄惨な現場。誘拐犯が自分の妻子を人質とっているのと同様に誘拐犯の妻子をじゅうりんし、子の指を切り取り妻をもてあそぶ。
 だけど全ての所作はあくまで様式美の劇空間である。スマートなのである。野田芝居おなじみ怒濤のセリフ劇で、男が狂気化するまでの前半を駆け抜け、誘拐犯との駆け引きの中で形成された「新生活」が始まってからはおおよそセリフが少なくなりマイムによる芝居が続く。そして時々襲ってくる蜂(THE BEE)は男の狂った精神状態を映しだすかの不快な音をこだまさせる。一見丸っきり別の要素であるはずの蜂の存在。全てを無化する絶対的存在の象徴か

 野田秀樹、英国でのワークショップの元に編み出した新作劇(06年6月英国で初演)を自ら日本語訳化して去年(07年7月)日本で上演されたもののオンエア版。マルチカメラによるスイッチング編集でアップショットが短い尺でつながれてたりこってり放送用の演出が施されてたので、現場の空気感がそがれたような気もするが、インパクトは大きかった。
 主人公の男を野田秀樹が演じた"日本版"と、野田秀樹が誘拐犯の妻役に回り男を英国女優が演じた"ロンドン版"を連続放送していて比較してみられたのは良い企画。"ロンドン版"はいまいちピンと来なかったが、"日本版"は秋山菜津子の熱演が光り充実の舞台

NODA・MAP

ニュースダイジェスト

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2008年02月02日

ど迫力のダッタン人の踊り

マリインスキー・オペラ
『イーゴリ公』
指揮 : ワレリー・ゲルギエフ 演出 : エフゲニー・ソコヴニン
08.0201igori.jpg★★★☆☆

 ロシアオペラの殿堂、マリインスキー劇場の日本公演で『イーゴリ公』、in NHKホール
 お目当ての「だったん人の踊り」は期待以上のど迫力の群舞シーン。ロシアの古典的振付けをそのまま受け継いでるそうだが美的でエネルギッシュ。ベールと薄衣、ピンクのグラデーションでまとめられた衣裳に身を包みカスピ海の美女という役回りの女性たちはひたすらなまめかしく。男性らはポロヴィッツの雄者という役回りで勇壮な群舞。回転とジャンプが多く取り入れられたダンスシーン。この場が休憩前、前半のラストとなって、カーテンコール付き。大盛り上がりの場内だったが、その時思ったのは、果たしてこれ以上盛り上がりの場面は来るのだろうか。まあ、結果的には杞憂終わらず、ここ以上の見せ場は自分の中では来なかった。まあ、それでも「だったん人の踊り」見れただけでも貴重だったのかと
 
 全体が大人数の舞台で、冒頭場面から総勢200人程が一度に舞台上にいる。ロシアコテコテのオペラということだが、音楽衣裳ともにほんのり東洋テイストが味か。
 ストーリー的には、主役のイーゴリ公が遠征に出るもいきなり敵の捕虜となって、敵の武将からなぜか酒池肉林の宴席の歓待を受け(「だったん人の踊り」のシーン)、2度と敵対しないという盟約を結べば開放するとの提案も騎士道に反すると固辞するも、結局は脱走し、そのまま国に帰るも、留守の間に妻の兄弟に国を乗っ取られていて、揚げ句に脱走した軍からも総攻撃を食らう、などと「イーゴリ公」の身に降りかかった悲惨さで通された不条理な内容。
 正直「だったん人の踊り」以降はたるい印象

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2008年01月05日

団十郎の助六、幸四・染五親子連獅子

壽 初春大歌舞伎 夜の部
鶴寿千歳
連獅子
助六由縁江戸桜
08.0103sukeroku.jpg★★★☆☆

 3日、久々の歌舞伎。三が日の歌舞伎座は初めて。
 歌舞伎座の『助六』は2004年6月の海老蔵襲名披露以来で観る今回のメインイベントだったが、やはり団十郎、重量感では勝るもの勢いやら艶っぽさではもはや海老蔵にかなわないのでは、との正直な印象。と思うのも単純に「年の違い」ということか。
 その他演目は筝曲で雅びやかな正月らしい舞踊『鶴寿千歳』。ほか紅白の親子獅子がたてがみをブルンブルン振り回す豪快な「毛振り」でメジャーな『連獅子』。『連獅子』は幸四郎・染五郎のリアル親子で演じるがこれは歌舞伎座2005年11月以来の同じ配役

 『鶴寿千歳』。まずは松・竹・梅の3人舞いでこれは前座的な踊りか。次に姥と尉(翁)を2羽の鶴に見立てた鷹揚な舞い。姥に芝翫、尉に富十郎。長年連れ添った白髪の夫婦。背景富士をバックに2人揃ってせり上がって登場。妻を気遣う夫の姿美し

 『連獅子』は親子獅子の伝説に引かれる象徴的な舞台。獅子は幸四郎・染五郎親子が当てられる。クライマックスでは紅白の獅子の「毛振り」。これまた正月らしいおめでたムードな色彩感覚。親は悠然と毛を回し、子は勇ましく高速回転で若さアピールの対比。3段に分れ最初の段は2人手に獅子面を持っての能舞いのような踊り。子を谷へ突き落としはい上がって来てはさらに追い落とす様を様式化。3段目はたてがみを頭に付けたコスチュームになるが、その着替えの間に2段目、『宗論(しゅうろん)』と呼ばれるコミカル芝居。宗派の違う修行僧が旅の道連れとなり、途中で方や「何妙法蓮華経」、方や「南無阿弥陀仏」ととなえ、宗派違いの口げんかとなるも、仕舞いにはどちらかがわからなくなって仲直り。するとにわかに荒天模様で2人が退散し3段目が開幕。2人の獅子、豪快な親子舞。

 『助六由縁江戸桜(助六)』は桜満開の吉原を舞台にお江戸の粋と笑いを詰め込んだ豪華絢爛な娯楽狂言で市川家お家芸。当代随一の花魁(おいらん)"揚巻"を巡り、伊達男、助六と正体不明の老人"意休"の対決の構図。物語の背景に曽我兄弟の仇討ち話をダブらせ、助六は兄弟のうち弟の五郎という設定で、誰彼とけんかをふっかけ刀を抜かすことで、探し求めている源氏の宝刀「友切丸」を引き当てようとしてる。助六は意休をけしかけるもなかなか刀を抜こうとしない意休。そして流しの白酒売りに身をやつした兄(梅玉)が現れ、弟をたしなめるも弟の本懐を知るや弟にケンカのし方を学ぶ兄。ここからがちょいと笑いの場面に、最初通行の田舎侍に「股をくぐれ」と助六。事を荒立てたくない侍は素直に従い、兄も同様に侍に股くぐりさす。そして次の通行人は遊び人の旦那(東蔵)で股くぐりに際し、「あらフランスオペラ座の旦那」と団十郎のパリ公演ネタで場を和ませ、シャネルの5番を股ぐらに吹きかける小ネタ、続く兄に対しては「どんだけぇ〜」とIKKOネタで笑かす趣向。「そんなの関係ねぇ」と小島よしおネタも今どきのお約束であるか挟み込んで盛り上げる場面。そして再び助六と意休の対決の幕となる

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2007年10月19日

ケラ+古田。究極のおバカ芝居

『犯さん哉』
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
07.1018okasan.jpg★★★☆☆

 作・演出:ケラ、座長:古田新太の大看板2枚によるユニット芝居@PARCO劇場。
 くだらなさ追求したしたとは観る前から知ってたが、その割には十分笑えた。まあ失笑は失笑なのだが、積もり積もれば満足感。極上の「間」というか引き、押しの絶妙のやりとりの会話劇は、自分の中で数少ないケラの芝居体験の中では最高。怪優・古田新太の力大きい。というかそれだよりではあるのだろうけど。なにげにNHKでやってたコント番組『サラリーマンNEO』にも間合いが似てる。入江雅人、山西惇、八十田勇一、中越典子あたりのキャスティングがかぶってるからなのか。ショートコント連なる感覚も近い。あとはケラ得意の演劇系内輪ネタでファンサービス。8,500円の高額チケットがもろにネタにされ複雑な思いにも駆られる。終盤はシュール度アップで相当きつくなるのだが、まあ、前半から中盤にかけての笑い貯金されてるので許す

 作家志望のとある男の一代記(一応、一本筋は通ってる)。彼を取り巻く事情を少年期、青年期、中年期と3つの時系列で追ってる。本人の名前がそのまま役名に。いじめられっ子の少年アラタ。貧乏育ちでいつもパンツ姿。憧れの女子、中越さんとは交換日記をしてるが日記を書くのは自分だけ。そんな少年は大人になり中学でいじめられてた入江君のゴーストライターになり小説は大ヒット。自分の名前を出したいとアラタ。ゴーストが名前出してどうするんだと一悶着。あとはグダグダ

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2007年10月13日

八百屋お七、赤と黒の狂乱

文楽 平成19年度秋季地方公演 @杜のホールはしもと
『伊達娘恋緋鹿子』:火の見櫓の段
『生写朝顔話』:明石船別れの段/宿屋の段/大井川の段
07.1012bunraku.jpg

 吉三郎の命を救おうと、火あぶりの刑を覚悟で火の見やぐらに上り、半鐘を鳴らすお七の壮絶なシーン。
 夜の場面、やぐらも黒く、漆黒の背景にはらはらと降る雪の白さ、お七の衣裳は燃えるような赤色。強烈な色彩のコントラストに踊り狂う女舞いのあでやかさ
 映画や何かで時たま触れる機会のあった"八百屋お七"・火の見櫓の段を、本家本元、文楽公演で観劇。そして感激ひとしおの名場面。やぐらに上る場面では人形のつかい手の姿を見せないトリック用いて、人形が単体で動いているかの仕掛け。これも見ごたえある

 文楽、地方巡業でJR橋本駅前の杜のホール。演目は"櫓のお七"、こと『伊達娘恋緋鹿子』と『生写朝顔話』。
 冒頭、つかい手の一人が演目の解説ほか小話やらで場をあっためる。これは地方公演ならではの趣向か。その他出演者、舞台等、国立劇場や文楽劇場での公演となんら変わらぬ本格的な仕様。

 最初に"八百屋お七"で正式タイトルは『伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)』。ヒロインは町娘、お七。火事で避難をした際に恋仲となった寺の小姓、吉三郎がとある剣を無くしてしまったために翌日には手打ちになろうという晩。剣を取り返し吉三郎を命をすくおうと火の見やぐらに上り半鐘を鳴らすお七のメジャーな場面

 次いで『生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)』は修学中の武士、阿曽次郎と芸州の家老の娘、深雪(みゆき)のすれ違いの恋の物語。京都・宇治川の蛍狩りで運命的な出会いを遂げるも、以降2人は幾重にもすれ違いの出来事重ね、島田の宿屋の場面に。深雪は泣き潰して盲目となっており宿で「朝顔」の名で歌い手をしており来客の阿曽次郎と再会。阿曽次郎は名を名乗れぬ状況から、自分の痕跡を残して立ち去るも、深雪はその事を知り、半狂乱で後追い、大井川の段。阿曽次郎、既に渡った後に着いた深雪は川止めで渡れず入水を試みるも、宿屋の主人徳右衛門らが止め阿曽次郎が残した薬により深雪の目が治る、となりハッピーエンドにつながる下り

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2007年10月10日

ドヤ街、リング、男と女

東京倶楽部 第七回公演
『Blue Bottle -蒼蠅-』
演出:菅田俊
07.1009tokyokurabu.jpg★★★☆☆

 東京倶楽部、7回目。
 神戸・長田区、在日ドヤ街に住むボクサーと取り囲む人々を熱く描いた泣き笑い人情物語。リングで燃え尽きた父親の姿を追ってボクサーとなった主人公。チャンピオンへ後少しという場面で、ボクサーの師匠である今ではヤクザの兄貴分のため八百長を働くことになるジレンマ。兄貴分はヤクザの首領の命に従うままだが、後に良心の呵責に悩む。そして事態は急展開。

 立ち退きの手が伸びる現在の街と往年の活気あった日々の主に2つの時間軸が交錯するスタイル。そしていつもながらの大所帯アクション舞台健在。だが少々1人、あるいは2人でのしんみりしたセリフのシーンが後半多くなり勢いはいつもと比べ幾らか穏やか
 演出の菅田俊氏が数十年後にドヤに舞い戻ったボクサーとして出演してるが、自分の見た中では初めて滞空時間の長い芝居。

 東京倶楽部の芝居。男らはとことん男っぽく、女らはとことん女っぽい、色気の漂う舞台。マッチョでベタで騒々しくいかがわしく、世の底辺の人々を描いた芝居は、とうてい他では観られないスペクタクル築いて、自分内イチオシ劇団(?)だったのだが、菅原文太氏、子息、加織氏追悼公演も今回で最後とのアナウンスがあり。これで終わってしまうのだろうかと心配でもある。

 14日まで新木場1stRING

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2007年09月16日

たい平の才気煥発を確信

朝日さわやか寄席
林家たい平『紙屑屋』
柳家喬太郎『禁酒番屋』
三遊亭楽太郎『町内の若い衆』
07.0915yose.jpg★★★☆☆

 小平市の市民会館、ルネ小平で寄席公演。朝日新聞の主催の催しだが、この手の落語会しょっちゅう行われているようだが初めて行く
 前座挟んで、たい平の番。同じ小平にあるムサビ(武蔵野美術大)出身ということで小平は学生時代に馴染みあること披露。
 私ことながらムサビ出身でしかもたい平氏とは在籍時代がかぶっており当時でも落語使い手として多いに目立ってた記憶蘇りの一幕。当時のムサビ、バンド系では今を時めくリリー・フランキー氏がやはりこれも目立った存在だったが、たい平氏の存在の異色さは並じゃなかった
 そんなたい平氏の一席。枕で場内を圧倒的な爆勝の渦に。寄席に来るとんでも客などのネタをタテ続けでとことん場内沸かせて、噺は『紙屑屋』。この演目、道楽趣味の若旦那が屑屋に奉公に出され、紙をより分けるうち、手紙だの何だのを見つけては内容を読み進め、歌舞伎や、都々逸、講談などと小粋なまね事次々披露で仕事にならない、というよな噺。横道へのそれようが幾らでも効くため、これでもかとばかりにたい平氏オリジナルの持ちネタ披露しまくり。相当充実の30分だったがすごいパワーで迫りきた

 ほか喬太郎は『禁酒番屋』、楽太郎『町内の若い衆』。2人ともいぶし銀の極み芸

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2007年09月08日

多重構造の裏社会絵図

smartball
「The Perfect Drug」
作・演出:名執健太郎
07.0907smartball.jpg★★★☆☆
 
 演出家、名執健太郎氏によるプロデュースユニット"smartball"、三鷹市営の小屋での公演
 歌舞伎町、大久保、中野、阿佐谷と中央線を舞台に地下社会に暗躍の幾人かの人をめぐる話が中心。舞台上5つの話が同時進行し、ラストに向かって徐々にそれらがからみあう多重構造に仕立てられたストーリー。
 同じ三鷹の小屋で先月観た「ポツドール」に出演の人らが今作に出演ということで観たのだが、テイストはやはり「ポツドール」に近い、毒っけのあるアウトロー気質のリアルストーリー。ソフトな「ポツドール」といった味わいか。観後感が先入観とぴったりハマった。
 複雑構造をなすことで、これ収集着かないまま終わっちゃいそだな、と思いきや、しっかりラストシーンだとわかる所を作ってくれてたんで後味はすっきり。現代風味の秀作の気配
 
 取り上げる題材が多少ベタながら、幼女ポルノに獣姦ビデオなど猟奇趣味の動物病院のオーナーと従業員、犠牲になる不法滞在のタイ人、探偵、フィクサーとして暗躍するレコード店主、レズの女子バンドなどの癖ある面々
 美術のしつらえは、中央左右に階層式に区切られた大小の舞台5つ。当初はそれぞれ順々にスポットが当たり独立した話として進行するが、徐々にからみあう。
 中央の舞台にはピアノが置かれ全裸の女子がピアノ椅子の上で体育座りしそばで寝ころぶ男子を微笑みまじりで見つめる。この舞台のみ他の設定とのからみが希薄だが、何かを暗示しているよう

 9日(日)まで、三鷹市芸術文化センターで

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2007年08月17日

オトムギが紀伊國屋ホール進出

大人の麦茶 第十二杯目公演
「ちがいますシスターズ」
作・演出:塩田泰造
07.0816otomugi.jpg★★☆☆☆

 姉のつもりで妹に恋の告白をしてしまったことから全てが狂ってしまった男をめぐる場内。その妹と偽りの生活を続けるも姉の帰還、そして見知らぬ腹違いの妹の出現により、全てが暴露されて舞台混乱。おさまりの着きようは有るか無しか‥

 オトムギ(大人の麦茶)、祝!紀伊國屋ホール進出の大舞台。12回目の公演にして、紀伊国屋とは恐れ入りやの大躍進。岸田賞も目前の勢いなのか、は知らない。
 とても前近代的な芝居が展開される。むずがゆくなるよなベタなセリフ回しに意外性の希少な演技のまとまりよう。
 この劇団は何回か観に行ってるのだが、その慣れもあるのだろうが、紀伊国屋進出をもって大化けするには至らず、殿堂の大バコの空気を満たしきれてなかったとの印象。
 これまでは客席と舞台の面積がそれほど変わらぬ小バコでの芝居。至近距離での迫真の演技に少なからず場持ちはあったのだが、今回客席の後ろ方で自分、近視ゆえに役者の顔がはっきり見えぬ位置関係でどうにも圧倒されるものが少ない。
 それでも今回の客演、永岡佑、及び小飯塚貴世江に一抹の光あり。ハロプロ系の客演もそれなりの春風与えてたか。

 19日(日)まで、紀伊國屋ホール

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2007年07月21日

ゴキコンのお化け屋敷風情

ゴキブリコンビナート
『my life as a punishment-game』
作・演出:Dr.エクアドル
07.0720gokikon1.jpg★★★★☆

 どんだけゲテモノや、と思いきや意外に楽しげな舞台。たん・つば、泥・水、花火に生ゴミが飛び交うステージに観客は360度注意を払いながら、逃げ惑いながら観劇の祝祭空間。否、学園祭のお化け屋敷のそれが近い。どびきりチープでユルさにまみれてる。痛みもなく緊張感さえ薄い。もはやグダグダに近い。そして意外にもミュージカル仕立てになってるのだな、悪くない。観劇後、「おまえの人生、罰ゲーム〜」と呪文のような歌詞がしばらく頭を離れなかったが、一晩たって忘れた

 ゴキコン(ゴキブリコンビナート)を初めてみる
 木場公園の仮設舞台。客は円形に組まれた可動式の足場の中でスタンディングで観劇。舞台といえるか、木を高く組み上げたセットが積まれたトラックが中央に鎮座。取り囲む観客。劇中、このトラック、場内を動き出すとなる。観客の中に突っ込んでくるわけである。まあ、スピードはゆっくりだし足場の間口が開きスペースが広がるので、ゆるゆると逃げればいいのだが。だけど、初日で来客が少なかったから良かったものの、土日は相当客も来ようモノ。初日の来客5,60人位でアレだから、土日の観客は大変だ(演るほうも大変だろう)
 
 途中、取り囲む足場のてっぺんに仕込まれた花火を降らすとなるが(観客は火の粉を浴びる)、ラスト近くでは上演してる所が公園だもんで、一般の花火遊びしてるやつらの花火の音がバンバン飛び交い、足場のてっぺんでのセリフとなれば、図らずもチープに花咲くリアル花火を背景した芝居になる不思議空間。結果オーライで祝祭を後押し。

 22日まで、木場公園・多目的広場で

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