2013年12月20日

伝説女優の夢物語スペクタクル

千年女優
今敏
13.1219sennen.jpg★★★☆☆

 その人の話を聞いているうちに壮大な絵巻世界に飲まれていくインタビュアーと視聴者。現実はどこかがやがて薄れ、スペクタクルの渦にもまれながら時空の旅を続ける
 かつて隆盛を極めた映画会社「銀映」の取り壊しを機に、当時の人気女優にして、ある日こつ然と姿をした伝説の女優、藤原千代子にインタビューをはじめた映像屋のタチバナ。タチバナはかつて銀映で助監督をやっており、その当時大女優であった千代子は雲の上の存在であったが、ある日姿を消した千代子のとある「落とし物」をずっと持ち続けていた。その落とし物の「鍵」をタチバナからわたされた時から千代子の思い出話が始まった。幼き日に出会った青年との話。明治時代かそんな昔、官憲から追われる青年をかくまった幼き千代子はほのかな恋を育てたその青年と、約束の場所での再会を約束する。その運命を握るのが「鍵」で、姿を消したその青年を追うために女優となった千代子は様々な役を演じる中で、現実では青年を追う自分と映画で演じている役の上での身の上が渾然となる。タチバナは千代子が語るその物語をずっとそばに寄り添い時に窮地を救いながら追い続ける。カメラマンとなってる彼のアシスタントとともに。
 華やかなりし映画世界は戦争前夜の憂鬱をはらみながら時代劇、現代劇、戦時ものなど色彩も豪華絢爛に様々な状況設定を次から次へと描き出す。千代子の青年に向かう恋と、タチバナの千代子への憧れがパラレル走行。人気女優のまま姿を消した様はリアルの女優、原節子がモデルになっているようだが、まま重なる。次から次へと場面が変わるのは夢と同じ。壮大な夢物語
 今は亡き巨匠、今敏の出世作

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2013年12月13日

自作自演ドキュメント

アリラン
キム・ギドク
13.1212ari.jpg★★★☆☆

 饒舌な1人芝居。心情を一人吐露する男。置かれていた立場や思い。今こうなってしまった成り行きや、仕事の話など。監督の意図とは何か…、映画への渇望。何でもいいから、映画が撮りたかった
 1人のむさい男が山里の小屋で暮らす様子がつづられる。部屋の中に張ったテントで寝て、起きて歯を磨き、外に出てトイレをし、自作のエスプレッソメーカーでコーヒーを飲む。薪ストーブで食事を作り食べる。そして自問いが始まる…。
 男は韓国の映画監督でキム・ギドクなる人物。ベルリン、ベネチアなどで映画賞を取り名声を得るも、とあるきっかけで隠遁生活を送ることに。映画の撮影中にある女優が命を落としかける事故があり、内省の逃避行。基本は自撮りのセルフドキュメンタリー。今や照明なしで暗い所でもしっかり撮れるムービーカメラがあると。いつしか撮ってたはずの自分を客観的に観る自分も現れ。高ぶる感情のままに言葉を吐き出す自分を冷めた視線で見つめ対話をはじめるなど。そして男は1人歌う、韓国の心の歌、アリランを
 11年のカンヌで「ある視点賞」を受賞

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2013年10月09日

適度な迫力、現代剣劇

るろうに剣心
大友啓史
13.1008rurou.jpg★★★☆☆

 NHK大河ドラマ『龍馬伝』で「人斬り以蔵」役で出ていた佐藤健が主演・剣心役、龍馬伝で監督していた大友啓史が監督で、別個に明治維新期の物語を映画化。原作は少年ジャンプ掲載の人気コミック。昨年2012年封切り時、興収2週連続首位などヒットを記録してる。
 NHKディレクターだった大友啓史(現在個人事務所で活動)。ドラマ「ハゲタカ」のキレある演出で一躍メジャー化したが、『龍馬伝』も相当にキレた演出ぶりだった。そんなイメージで今作を見るといささかおもむきが違う。維新期の混沌を描いたアウトローものゆえに全体がダークなナイトシーン多めの色合いで、彼お得意の「光とホコリ」が描かれない。カメラワークも幾分オーソドックスに見えた。しかし、見所は数多くの場面で登場する殺陣(斬り合い)の迫力。ワイヤーアクションを取り入れてるのだろう跳躍も高々と、剣のからみもスピード感あり分厚く仕立てられてる。出血やどぎつさはセーブされ、縦横無尽なカメラ設計で剣劇の新しい捉え方も見せてくれた。
 キャストはNHK大河でおなじみの役者が揃うがそれはたまたまか。悪役で開花してる香川照之がここでもベタなカオ芸を見せる。

 幕末期暗殺者だった剣の達人「緋村剣心」。明治の世となって「不殺の誓い」をするも、かつて自分が呼ばれていた「人斬り抜刀斎」を名乗るニセ剣士が現れ、さらにアヘン密売で民衆の的となる悪漢も台頭し、恩人である武芸所の師範代であるヒロイン神谷薫(武井咲)にも魔の手が伸び、剣を抜かねばならぬ時が迫る

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2013年08月10日

下町人情とキテレツな二人

コント55号と水前寺清子のワン・ツー・ パンチ 三百六十五歩のマーチ/野村芳太郎 69 /
13.0809_55.jpg★★★☆☆

 ちゃきちゃきの江戸っ子板前、金一(萩本欽一)と、ちょいとお人好しの鹿児島から上京したての二郎(坂上二郎)が下町の長屋を舞台に繰り広げる人情喜劇。母親を亡くした二郎はその遺産を元に大志を抱いて上京。行く先は母の友人が住む長屋で、そこいたのが、母の友人の息子の金一。けんかっ早い金一は働いていた店を飛び出しており、金一と意気投合した二郎は大金を存在を知らせ店を持とうと持ちかけるも望みの物件にはやや足りず、競輪で増やそうという金一に有り金預けたのが運の尽き。すって無くして喧嘩となるも遅し。その頃住んでた長屋に立ち退き話が持ち上がり、同じ長屋に住んでいて金一とは幼なじみの清子(水前寺清子)の勤務先のスーパーの店主が首謀者で、立ち退き反対の住民らと闘争が勃発するも、スーパーによる熱海接待で懐柔される住民達。残ったのは金一親子と清子親子で、スーパーの息子、順吉(藤岡弘)とできていた清子は大阪へ行くこととなり、おいていく老父が心配な清子はとある策略を練ることに。清子にぞっこんだった二郎だったが、金一も清子に惚れてたのが発覚で意気消沈の二人だったが、清子の策略が2人の運命を握っていた

 コント55号(萩本欽一+坂上二郎)と水前寺清子のコラボシリーズで松竹の名匠、野村芳太郎監督作。ぶっきらぼうな欽ちゃんの江戸っ子気質とお人好し二郎ちゃんのでこぼこコンビに、二人の間を爽やかに取り持つ清子のナイスなトリオワーク。物語は水前寺扮する落語家・清奴が話し回す仕掛け。長屋の泣き笑い人間模様にキテレツなコント55号の取り合わせ。ほか財津一郎もギャグ控えめで出演

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2013年05月11日

行きずりのロードムーヴィー

ヴァイブレーター
廣木隆一
13.0510vib.jpg★★★★☆

 互いに孤独感を抱えながら、行きずりの2人がごく自然に解け合って行くストーリー。女は都会(東京)のコンビニで男を見つけ視線を送り、男は軽く尻に触れることでサインを送る。男のいる長距離トラックに乗り込む女。「ようこそ」と男。東京から新潟への往復旅路。見知らぬ2人がどう解け合っていくのか。過食の気のある一見「危ない」女と、一昔はヤクザがらみで危ない橋を渡ってきた男。長く1人でいるトラック運転手にとっては何よりも話し相手ができたのが嬉しかったか、男は女の抱えた重い澱(オリ)を溶かしてく。
 説明し過ぎない脚本。本は赤坂真理の原作に荒井晴彦が脚色してる。今から10年前(2003年)の作にして昭和の香り漂う台詞回し+字幕入れ、なのだが、どうにも映像がスタイリッシュにまとめられてしびれる。闇夜を走る大型トラックを追った移動ショットが多くとらえられ、時に鮮烈なトワイライトを背景にして、2人の心の起伏がクッキリ描かれた極上ロードムーヴィーに仕立てられてる。

 主演の2人に寺島しのぶと大森南朋で最高のコンビネーション。荒井晴彦が原作者に掛け合い映画化をすすめ廣木監督が呼ばれ、ルポライターの女、早川玲役として寺島が口説き落とされ、寺島の引きで大森がトラックドライバー岡部希寿役に当てられたと(movienetより)。
 タイトルの「ヴァイブレーター」は、最初の出会いの胸の高鳴りを携帯のヴァイブに例えたり、2人がカラダを重ねるトラックのアイドリングの振動などと重ねられてる
 いさぎよい幕切れが心地よい

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2013年05月03日

ローマから東京へ往来

テルマエ・ロマエ
武内英樹
13.0502thermae.jpg★★★☆☆

 古代ローマと現代日本を、大衆風呂を接点としてつなげたコメディ。阿部寛、北村一輝ら濃いカオ役者をローマ人に見立てた強引な結びつけと、そもそものストーリーがローマの史実と日本のふろ文化をコネクトさせて、壮大なんだか強引なんだか分からない、新味の異文化コラボが斬新。
 メインキャラは阿部寛扮する古代ローマの浴場設計技師ルシウス。ルシウスは彼の地で浴場に潜ると現代東京の風呂へとタイムスリップ。時にショールームの浴槽、銭湯の風呂、家の風呂とそのときで出てくる場が異なるのだが、ルシウスはその場で見た風呂場での仕様の逐一をローマに帰っては浴場設計に応用、画期的な設計を打ち出して皇帝に目をかけられるてん末。東京ではルシウスの出現になぜか毎回居合わせることになる漫画家志望の山越真実(上戸彩)がルシウスのアテンドを担当。真実はルシウスに寄せる恋慕から古代ローマの言語(ラテン語?)も習得。さらにルシウスとともに古代ローマへも流転してしまうが、これに実家の温泉旅館の父らも帯同して、古代ローマにてみなで新たな健康ランドを建設。温泉の治癒効果から担ぎ込まれた負傷騎士らが次々復活して戦勝に寄与するなど「平たい顔族(=日本人)」も彼の地にて貢献

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2013年04月13日

大阪国立ち上がる

プリンセス トヨトミ
鈴木雅之
13.0412princes.jpg★★☆☆☆

 豊臣秀吉の末裔が生きながらえ、大阪人は秘密裏にその姫を保護していたとするSF話。大阪人と対峙するのは東京からやってきた会計検査院の職員3人で、国家補助金をめぐる調査の中で謎の社団法人が浮かび、その秘密にたどり着く。しかしここでその豊臣の末裔、プリンセス・トヨトミ自身のストーリーの中での存在は薄く、調査官のリーダー、松平(堤真一)とお好み焼き屋の亭主にして大阪国総理大臣、真田(中井貴一)の対決が主軸となる。中学生であるプリンセス自身は自分がそんな身であるのを知らず、真田の息子、大輔が性別不適合でセーラ服を着てるのがいじめの対象となりそれを助ける女傑の設定。そんなプリンセスが大輔を救おうとする中でヤクザがらみとなりそうな所を調査官の1人、鳥居(綾瀬はるか)が救い出して保護した所、拉致されたとして、大阪人たちが「立ち上がる」といった流れ。謎の法人も会計検査で不明瞭部分があり、検査院3人と大勢が参集した大阪国が大阪府庁前でやり合うことに。しかしここで松平自身も元は大阪出身であることが吐露され何ともうやむやとなる終盤。松平自身の親子の絆の物語に進んでいくのである。謎が謎を呼び大阪夏の陣の時代劇部分も挟まれスケール感ありげに描かれた前半だったが、徐々に叙情的に進展していくのが尻つぼみな印象ではあった

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2013年04月10日

超人たちの戦いの絵巻

劇場版 SPEC -天-
堤幸彦
13.0409spec.jpg★★★☆☆

 堤幸彦作品常套の小ギャグと映画版ならではのスケール感で描かれたニュータイプ『SPEC』。超常的な能力の持ち主「スペックホルダー」たちが跋扈し、それらを国家権力で抑えようと公安警察に所属の2人、当麻(戸田恵梨香)と瀬文(加瀬亮)が立ち向かうスリラー&ファンタジーなストーリー。2010年10月からの連続ドラマに始まり、12年4月に2時間ドラマが続き、今作はその続編で、「SPEC」たちのキャラクターも多重構造。当麻自身も徐々に「スペックホルダー」の頭角を現し、死んだはずの弟にして、悪玉の大将、ニノマエ(神木隆之介)と対峙する構図。人物関係がなんやかやで混迷していて追いつきづらく、いよいよ混迷していくストーリー。今作では当麻&瀬文のタッグに海外から帰国した瀬文の元恋人、青池(栗山千明)らが加担。対するニノマエは伊藤淳史(本人役で出演)、マダム陽(浅野ゆう子)らを従え。奇想天外な攻撃を繰り出し当麻らを苦しめる進展具合。そしてラスト、次回作への謎掛けでニノマエと通じたフィクサーと思しき白装男がチラ見せで登場し終了。
 次回作は13年秋、テレビドラマ『SPEC〜零〜』と映画『劇場版SPEC〜天〜』2部作と分厚く展開する模様

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2013年04月05日

町田ご当地脱力シネマ

まほろ駅前多田便利軒
大森立嗣
13.0404mahoro.jpg★★★☆☆

 30過ぎのバツイチ男2人が便利屋稼業をしていく中で遭遇する複雑な人間模様。原作は三浦しをんの直木賞受賞作。舞台の「まほろ」は町田を指しておりロケ地はもろに町田が使われてる。2人組には瑛太と松田龍平で、ちょいと脱力系、ズレた関係性のコンビでストーリーを引っ張る。テレ東のドラマで今作の続編的な『まほろ駅前番外地』をオンエアしており、そっちを最初に見たあとに今作を観たが、メディアも演出家も違い、ノリが別物なのだが、ドラマ版よりはキャラが固まっていないような部分や、2人の間のぎこちなさもあって、そこいらは別の意味の見所となってた。ドラマ版よりは全体がシリアスで静かな展開。ドラマでもよくあった行天(松田龍平)の特徴的笑い方は今作で固まったよう

 元々1人だった多田啓介(瑛太)が営む便利屋に転がり込んでダッグとなった行天は中学の同級生つながり。多田が客より預かっていたチワワを行天が回収して久々の再会となり弱みを握る行天が多田の家兼事務所に転がり込んだ。怪しげな仕事が舞い込む多田便利軒。小学生の送り迎えの依頼だったのがその小学生がヤバめな仕事に手を染めていて救おうとする中で騒動に巻き込まれたり、など。常識人の多田に対し、思うままに行動する2人のデコボコさで難事を切り抜いたり切り抜けなかったり。

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2013年02月19日

カルメン2作目の混沌化

カルメン純情す
木下恵介
13.0218carmen.jpg★★★☆☆

 『カルメン故郷に帰る』のヒットを受けてのシリーズ2作目。かなり珍奇な作風に転換した。木下作品の中でも異色な作風。史上の迷作ともいえる突飛な仕立て。画面の作りもストーリー展開も混沌化していき不意をつく幕切れで終る。初回がカラーだったのが今作では白黒となり、ほとんどの場面で画面を左右どちらかに傾けてみせる仕掛け。場面転換のワイプ模様も毎回変えた意匠で見せ、前衛芸術家の話でもあるかな音楽も時折シュールさを際立たせる現代音楽調が重なる。画面を傾けた事で画面の中で余白が減り、人物が窮屈に配置される。主人公カルメンの悲恋を追った少し暗めなストーリーと合わせ重たい印象はあるが、珍奇なキャラクターも多く本来はコメディ映画の成り立ちである。戦後の浮き足立った社会風刺をちりばめたスパイシーさも加味

 前作で故郷に錦を飾った(!?)ストリッパー、カルメン(高峰秀子)の後日談。大衆演劇の人に捨てられ子連れで戻ってきた親友のアケミ。泣き止まぬ赤ん坊ゆえに2人して捨て子を試みるもやはり捨てられぬと戻ってみるとその家、須藤家の御曹司、芸術家の一にカルメンは陶酔。部屋に飾られた作品の数々にも魅了された。しかしそれまで人前で脱ぐ事をいとわぬカルメンは徐々に恋心に目覚め脱ぐ事を拒むよに。折から須藤は政治家、佐竹熊子の娘千鳥と持参金目当てで婚約中。須藤への思いがつのるカルメンは裸になれずに小屋をクビになりその後はバイト生活で迷走。須藤と婚約者千鳥、その母熊子らくせ者キャラが暴走を続けカルメンを翻弄しドタバタチックにストーリー展開

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2013年02月18日

故郷に錦か色めきか

カルメン故郷に帰る
木下恵介
13.0217carmen.jpg★★★★★

 高峰秀子がストリッパー役で体当たり演技見せる、史上の名作。風光明媚な土地、浅間山の麓の村に帰京した、牧場の娘きん、ことリリィカルメンが引き連れた同僚のアケミと2人で引き起こした大騒動。制作は昭和26年('51)で(国産フィルムによる)日本初のカラー映画。フィルム感度の問題からオールロケでの撮影を余儀なくされたが、雄大な浅間山をバックにした高原を舞台に雄大な自然とストリッパー2人の派手な衣装とある種珍妙な踊りが好対照をなすモンドでヌケの良い作品に仕上がった。歌手でもある高峰秀子が時折歌うプチミュージカルな仕立て。盲目の音楽家(佐野周二)が歌う、マイナー基調の音楽とも対象形の構図。田舎にやってきたモダンな都会人か、否、異分子到来で排除に回る村人群衆。そんな風刺のスパイスも効く。
 ストリップを芸術と信じて疑わないカルメン。しかし、父の正一は薄手の衣装で街を闊歩する娘が恥ずかしくてしょうがない。学校の校長(笠智衆)も芸術家として凱旋するかつての生徒を心待ちにしていたが、実物を見てショックを受ける。浅間山の歌を吟じてカルメンの父と台風が過ぎ去るのを待つ。カルメンの引き連れたアケミは学校の二枚目先生(佐田啓二)に岡惚れするも、2人の存在はあまりにも刺激が強すぎた。付け入ったのは地元の土建屋、村人集めて2人のステージを画策するがどうせ一夜と安普請で舞台を設営。何ものとも知らぬ村人、物珍しさに集まる集まる。かくしてステージは本番を迎える

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2013年02月02日

戦後の空気感パッキングの風刺もの

プーさん
市川崑
13.0201pusan.jpg★★★☆☆

 中年予備校講師の不運な日々を中心に取り巻く人らの日常を追った群像劇。同名の新聞掲載4コマ漫画を主にした構成。戦後すぐの世相を映した社会風刺が真骨頂。巨匠、市川崑の初期作にて当時の話題作。古き良き戦後昭和の東京の風景、世相が色々刻印されていて面白き。単純にコメディとは呼びにくい、やるせなさが充満した悲喜劇
 怪優、伊藤雄之助がさえない教師役。初っぱなからトラックにひかれそうになり腕をケガして授業では生徒に助けられ黒板書き代をせしめられる気弱な教師、野呂。下宿先は税務署職員金森家にてその家の娘、越路吹雪演じるカン子に思いを寄せるが、名前通りの頑固な性格。そしてカン子にまつわるストーリーも平行して進む。伊藤雄之助とはW主演の様相。そのカン子、銀行のOLにてストリップ見物が趣味の奇特な娘。映画ラストでは恋人との結婚を親に断られ自殺未遂しちょっとしたクライマックスになる。教師野呂は予備校経営者に言いくるめられて夜間担当に格下げ、さらに学生らにそそのかされてデモ見物に行ってみれば大量検挙の大騒動で新聞に顔が載り、予備校からはクビとなって無職に。下宿先では次第に疎まれてくが、カン子の自殺騒ぎで少し頼りにされる野呂である

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2013年01月30日

互いの壁を乗り越える2人

ステューデント
クロード・ピノトー
13.0129etudiante.jpg★★★☆☆

 舞台はパリ、教員試験に追われる女子大生と新進ミュージシャンの恋物語。スキー場で劇的に出会い急激な恋に落ちた2人。ヴァランティーヌはソルボンヌで教職を目指しつつ予備校などのバイトに追われ、ミュージシャンのネッドはバンドの巡業の合間、映画音楽の売り込み等忙しく、互いが過密スケジュールの中でテンション高く愛を築いていく。激しい恋の行方。気性激しいヴァランティーヌはふとしたきっかけで嫉妬に駆られ激しく相手にぶつかる。ネッドはそんな激しさを次第に受け止めきれなくなるように。しかし互いのすれ違いを経た後、ヴァランティーヌの教員試験の試験会場に現れたネッドが見たものは…

 ソフィー・マルソー全面フィーチャー、彼女のキャリア初期の半アイドル映画。日本でもヒットした『ラ・ブーム』2作に続き、スタッフを同じくしての制作。序盤の2人の出会いのシーンで、ヘッドフォン(ウォークマン)をきっかけに音楽が始まるなど前作つながりの演出も。テンポよく、いや相当に駆け足で話はパキパキ展開してく。今から25年ほど前のプチレトロなパリ風景は見物

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2013年01月24日

喜劇役者オールスター一座

雲の上団五郎一座
青柳信雄
13.0123kumo.jpg★★★☆☆

 豪華出演でおくる旅回り劇団の騒動記。昭和37年の作品にて、座長役エノケンこと榎本健一はキャリア後期で目立たない。劇団メンツで言やぁ、三木のり平、八波むと志、由利徹やらノリがいい。そしてストーリー中途で出てきて劇団を生まれ変わらせる立役者にてぺてん師まがいの演出家、酒井役のフランキー堺が秀逸。演出代と称して出演料をピンハネするなど胡散臭さは人一倍なれどやるときは自ら舞台に立って爆笑を取る実力者。理論優先の演劇青年だが、相手は大衆演劇の泥臭さ。西洋演劇のセリフ廻りがたちまち浪花節に変わって、ここいらは酒井の想定外。ドタバタ劇は結果たちまち大受けを取って、在阪の有名劇場から引き抜き話が立ち上がる。座長の夢かなった大劇場での花舞台だが、映画のフィナーレとしてはそれほど面白くない。むしろ中盤、劇中劇での三木、八波、由利らの掛け合い芝居が見所の一つ。実際舞台版から映画化された流れもあって、これら豪華喜劇役者らの競演で送る「お富与三郎」だのの芝居断片がことごとくスバラシ

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2013年01月22日

愛憎で結ばれる2人

ギルダ
チャールズ・ヴィダー
13.0121Gilda.jpg★★★☆☆

 ブエノスアイレスの裏町、賭場で再会した男女をめぐる愛憎劇。モノクロの締まった画面で男女感の機微と賭場の男たちの微妙なかけひきが描かれるフィルムノワール。ヒロインのギルダにはリタ・ヘイワースで、映画『ショーシャンクの空に』で引かれた「塀の中のリタ・ヘイワース」はまさにこの映画のリタを指していると。リタにとっては出世作であり、その後この映画のイメージの呪縛をうけることになる代表作。ダンサーでもあったリタは映画の中で妖艶なソロダンスを何度か披露しギターを弾き語り、2人の男の間で揺れ動き翻弄し合う妖女をたっぷり演じる。

 大戦末期のブエノスアイレス。訳あってアメリカより流れ着いたジョニーはいかさまを見抜かれ襲われていた所を救ってくれたマンソンの部下となり賭場に身を置くが、マンソンが連れてきた新妻は、あろうことか、元の愛人ギルダで、2人には深い事情があり、マンソンはそれを見抜き嫉妬に駆られるが、ジョニー自体はマンソンには恩があり部下としての忠義を尽くしギルダとは距離を置く。奔放な性質のギルダはそんなジョニーへ腹いせか男たちと軽はずみな遊びにふける。マンソンは訳あって賭場の仕切りをジョニーに託し自殺。ジョニーとギルダは結ばれるがその後ジョニーはギルダへつらく当り、ギルダは逃げて別の地でダンサーとなる…など

 リタ・ヘイワースを商業的に売り出すために作られたアイドル映画のようだが、彼女の出演シーンはすべて映画史に残る奇跡のような輝きを放つ。風格あるスター女優

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2013年01月19日

現代版─仁義なき戦い

アウトレイジ
北野武
13.0118outrage.jpg★★★☆☆

 「登場人物すべてが悪人」のふれ文句の通り、ヤクザ同士の「仁義なき」抗争が描かれる。一般人はほぼ介在しない、男らの殺し合い。きっぱりとタテ社会であるはずのヤクザ稼業も、ちょっとした個人同士のしがらみからゆがみが生じて、あるものに取ってはスジの通らぬ理不尽な強要を迫られる。この場合、今作では監督、北野武自演の下部組織組長、大友が難題を振りかぶることに。下っ端(チンピラ)同士のいさかいから復讐合戦となり、やがて幹部同士の抗争へと発展する。ヤルかヤラれるかの果て無き抗争。特殊なヤクザ稼業といえど、構造は一般社会と同じ。紙一重で形勢は逆転する。徹底してやり合うヤクザ同士の抗争劇は、現代版の『仁義なき戦い』の格好。バカヤロー、コノヤロー、が飛びやり取りが基調となるが、三浦友和、椎名桔平、加瀬亮らキタノ映画初参戦のメンツがかもす、何気ないコギレイ感で全体がスマートに進行する。キタノ映画独特の淡々と物語が進むテンポ感も心地よい。

 広域暴力団山王会の幹部、関内は傘下の池元が直系でない村瀬と兄弟分でいるのを快く思わず、配下の加藤に命じ、池元に村瀬の締め上げを迫る。池元は下部の、大友に命じ村瀬のシマを崩しにかかり、これが発端で抗争のるつぼに。村瀬は淘汰されるが、池元自体も、さらに大友さえもつぶしにかかられ、これらはすべて大幹部、関内の思惑通りのはずだったが…

 去年(2012年)10月に続編にて完結篇の『アウトレイジ ビヨンド』が公開されてる

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