2012年12月29日

町医者人情群像劇

本日休診
渋谷実
12.1228honjitu.jpg★★★☆☆

 「本日休診」の札を掲げ、朝寝を決め込んでいた町医者先生、八春先生の元に、来るわ来るわで次から次へと訳あり患者が押し寄せるある日の休日診療。その日は若先生が看護婦を従え温泉遊山。大先生の八春先生はその医院で長く勤めており住民らの信頼厚い。料金も二の次でまずは診療。時には指を詰めると言って麻酔をしろというチンピラ(鶴田浩二)も訪れるがこれはうまく言いくるめる。悩み相談的なことも多い。往診に出回っては貧しい市民の窮地を救う。まるで赤ひげ。戦傷で頭をやられた若者(三國連太郎)が号令をかければこれを取りなし時には整列して従う。戦後の傷跡がそちこちに残る東京の線路伝いの町の群像劇
 柳永二郎が演じた八春先生。井伏鱒二の原作小説を映画化。巨匠、渋谷実による演出で軽妙かつじんわりと味わいある人情劇に。岸恵子、淡島千景らも出演

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2012年11月20日

NEO映画版のぬらりくらり

サラリーマンNEO 劇場版(笑)
吉田照幸
12.1119sarari.jpg
★★☆☆☆

 NHKの名物コント番組「サラリーマンNEO」の映画版。お笑い系でなく生瀬勝久、沢村一樹、中越典子ら本業役者がコントではじける奇特な番組「サラリーマンNEO」。NHK社内演出、吉田照幸の切れ味ある演出でなかなかの面白さだったが、TVではいくつかのコントをオムニバスで見せていたのに対し、映画版では一筋のストーリー仕立てになっており、TV版のレギュラーネタ、各種キャラをふり混ぜて構成。つながりで無理矢理並べた分、ギャグの切れ味が相当部分が削がれて生ぬるい感じではあったが、映画版での新たな出演、小池徹平、篠田麻里子らの新戦力が新風吹き込んで新たな味わいになってはいた。

 新城(小池徹平)が入社したNEOビールは業界万年5位でかつてのヒットで食いつなぐ弱小、熱狂阪神ファンの課長(生瀬勝久)やら頼りにならない上司、川上(沢村一樹)らに囲まれ、合コンでは会社名を言っても誰にも通じず腐っていたところ、ぽろっとこぼした新商品の企画「セクシービール」が社内で取りあげられ、プロジェクトリーダーとなる。精鋭(?)集まり企画推進となるが、思いよらぬ落とし穴が控えることに

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2012年11月01日

平田オリザをあばく試み

演劇1
想田和弘
12.1031engaki.jpg★★★☆☆

 小演劇界を代表する一人、劇作家・平田オリザ氏の演劇活動に迫った異色ドキュメンタリー映画。監督本人は「観察映画」と称するらしく、最近テレビで良くありがちなカメラを構えるディレクターと映ってる人とのからみが極少で、ひたすら事象を追う視点(それはまさしく「観察」の感覚)。被写体へ超アップに迫ったり、固定カメラという訳でなく手持ちで被写体の動きをフォローしていたりはするのだけれど、どこか監視カメラのように、被写体におもねらず静観した視点が妙に心地いい。芝居の稽古の様子が生々しく自然に撮られている。じっくり4年をかけて取りつのっていったという。劇団員たちとの関係、そこにいて意識しないよう長い時間をかけないとそこまで関係は作れない。1本で3時間近くの長尺だがそこまでの長さは感じなかった。ラストシーンには意外にも感動させられた
 平田オリザ氏本人は、大体がニコニコしていて人当たりの良さそうな人柄がにじみ出ているが、演出に関しては確固たるものビジョンで臨む、セリフの間、スピードについて細かく指定し、役に心情について言い聞かせることはない。きっと本人の中で独自のリズム感覚がありそれを再現しているのだろうと劇中で劇団員はいう。稽古は同じ所を何度も繰り返す。本人は脚本の書かれたノートパソコンを常に手元にし、芝居を見ずにパソコンの文面と聞こえてくるセリフのみに集中している時もある。絶対的王様は、さらに劇団の経理や人事、巡業での工程管理などすべてのマネージメントを取り仕切る責任者でもある

 個人的には10数年前、当時超リアルな芝居をする異色劇団として話題となってて、彼らの本拠、駒場アゴラ劇場に観に行った覚えがある。確か今作中で再演してた『火宅か修羅か』だ。複数のグループでの同時多発のセリフ周りもそうだが、役者皆の穏やかな口調に驚いた。演劇と言えば時に絶叫、エネルギッシュに客席に向かってパフォーマンスするのが通常との観念を打ち破るリアルテンション。普通の人が普段話に会話している、そんな目新しさでインパクトあった。青年団はその後成長をし続け、のれん分け的に広がって優秀劇団を生み出している。五反田団、地点、サンプル、ままごと 然りである

 イメージフォーラムで23日まで

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インタビュー

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2012年10月12日

函館地物映画の憂鬱

海炭市叙景
熊切和嘉
12.1011kaitan.jpg★★★★☆

 北の函館、…今作では「海炭市」と称されるが…、北の港町に生きる人らを描いた人間模様。そのどれもがいい知れぬ憂鬱を抱えて、それでもじっと耐えながら、時に耐えきれずに今をあらがいながら必死に生きる様を描く。タッチは静謐、遠目の視線で決して出演者にも視聴者にもこびない冷めた視線。リアルともいうのがはばかられるよな冷たい視線。観光地、函館にありながら、世界に誇る夜景や、味わい深い路面電車の旅情を見せておきながら、なんとも、物悲しげな函館が切り出される。

 函館生まれの作家、佐藤泰志原作短編の映画化にて、連作小片のいくつかを取りあげオムニバス的に構成、何人かは話をまたいで関連を持つ。
 造船所の人員減らしにより仕事を失った兄妹。都市計画で立ち退きを迫られた老婆。女房に裏切られたプラネタリウムの職員。裏に不倫問題を抱え再婚した妻から息子へ暴力、さらにその妻への暴力へ進む燃料店の若社長。父と仲違いしており帰京しても家に帰れずスナックにさまよい込んだサラリーマン。
 希望は見つかりがたいが、そこはかとない共感を呼ぶ、底知れぬ威力を持つシネマ
 監督は「鬼畜大宴会」の熊切和嘉。確かな切れ味

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2012年10月04日

厳しい山岳の実風景

岳 -ガク-
片山修
12.1003gaku.jpg★★★☆☆

 底抜けに前向きで陽性志向の青年にして山岳救助ボランティア、島崎三歩の、主に壮絶な救助風景を描いた山岳ドラマ。このとき、警察の山岳救助隊に入った新人女性隊員、椎名久美が観客と同じ視線で山岳事故の実体に遭遇。長澤まさみ演じる久美が、三歩=小栗旬との師弟としての交流の中で反発も含めた曲折を経て救助隊員として成長してく様を描いてく、ダブル主演のスタイル
 世界の名峰を踏破し、日本アルプスの山に暮らす「山バカ」にして救助のエキスパート、島崎三歩を主人公とした人気コミック『岳』の奇跡の実写化。コミックはちょっと前に4巻くらいまで読んでいて、かなりえぐみある滑落事故を主とした山岳事故のさまざまが描かれた内容。三歩のあっけらかんとした明るさが山や登山の魅力に同化して事故の悲惨を覆う。スケールの大きい内容だが映画化ではクライマックスの部分など狭いエリアでのセット撮影で乗り切る反面、極力山岳ロケを盛り込んで臨場感の抽出に挑んでいて好感。監督はこってりTVドラマ畑の人、片山修が本編2作目。

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2012年10月03日

バルサが敵地でベンフィカに順当勝ち

■■10.02 UEFA Champions League _Group G■■
Benfica●0vs2○Barcelona(リスボン)
[goal]Barcelona:6サンチェス 56セスク
12.1002mesi.jpg

 CL(チャンピオンズリーグ)、グループステージ2戦めでバルサ(バルセロナ)はポルトガルの強豪、ベンフィカにアゥエイに2-0順当勝ち。バルサが常時ボールキープしゲームを支配した形勢だが、ベンフィカも果敢に攻めに転じて、ショートカウンターを幾度も試み動きのある試合。しかし最後の精度はバルサが上まり序盤に、メッシ→サンチェスのフィニッシュ。2点めは後半10分にまたもメッシのラストパスからディフェンス裏にセスクが抜け出して難なくゴールし2点差。しかしこの後バルサに悲劇が。30分にバルサ、敵の急襲を食い止めるもこのとき体を張ったバルサ、ディフェンスのプジョルが着地で腕を不自然な方向に曲げてしまい負傷退場。プジョルはケガから復帰初戦の試合だったが、またも長期離脱の様相。バルサに取っては予期せぬ悲劇。その後はブスケツがファールによる一発退場となるも2点差を守りきり2-0勝利に。
 同組のセルティックvsスパルタク・モスクワ戦はアゥエイのセルティックが3-2勝利

 バルサのリーガ次戦は7日(日)、レアル戦ホーム
 CLは23日(火)セルティック戦ホーム

順位表

バルセロナ

 ペドロ    メッシ   サンチェス
(↓ビジャ)       
     セスク   シャビ
   (↓イニエスタ)
        ブスケツ
ジョルディ・アルバ        D・アウベス
    マスチェラーノ プジョル  
           (↓ソング)
        バルデス   


蹴球新録
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2012年09月26日

原田芳雄、ラスト主演作の村役者

大鹿村騒動記
阪本順治
12.0925oojika.jpg★★★☆☆

 村歌舞伎の看板役者にて初老の食堂店主、風祭善に昔愛した女房、貴子が帰ってきた。しかしもう昔の貴子ではなくモノを忘れた成れの果て。やりきれない思いを抱えた善に村歌舞伎の本番が近づく

 原田芳雄遺作にて大鹿村、村歌舞伎を取りあげた(タイトルまんまの)騒動記。長野県の山あいの村、大鹿村で300年、今も年2回の公演が続く「大鹿歌舞伎」。原田は08年正月に放映されたNHKドラマ「おシャシャのシャン!」で大鹿村の看板役者役を演じており、しかしその時、ギックリ腰で舞台に立てなかった役だったため、今度は舞台に立ちたいと自ら企画を温めていて、これを原田とは『どついたるねん』など6作品でタッグを組んだ阪本順治監督が引き継ぎ、大御所脚本家荒井晴彦と組んで脚本化したいきさつ。原田は今作の公開、11年7月に死去。役柄自体何ともヤレヤレな感じに満ち満ちた不運な男役だが、華やかさと悲哀に包まれた何とも年輪を感じる男役にてこれまでの役者人生を象徴するかの役柄。女房役に大楠道代、その女房と駆け落ちした親友に岸部一徳、ほか石橋蓮司、佐藤浩市、松たか子、三國連太郎、瑛太ら村人として手堅く脇を固める。クライマックスの村歌舞伎本番に向けて物語は急展開し、しかしあっけなくその舞台は始まるのだが、源平の攻防を題材に取った舞台では淡々としながらも生々しく役者と客らをとらえて圧巻の本番舞台が切り出されてる

 18年前、親友に女房を取られ、18年独り身だった食堂「ディアイーター」店主の風祭善だが、自分が主役の村歌舞伎の公演を間近に控えたある日、当の2人、女房、貴子と駆け落ちの相手、治の2人がふらりと村に戻る。折しもリニア新幹線の駅誘致を巡って村内は紛糾。調整役に回っていた善だったが、帰ってきた女房はアルツハイマーで手当り次第にものを食い、商店の品を盗むで、手一杯になった善は芝居を投げ出さずにはいられなかった。しかし貴子は、モノの名前はすべて忘れていたが、唯一覚えていたのが芝居のセリフ。かつて善と貴子が舞台でからんだ名台詞がスラスラ口をついて出る。間近の舞台のセリフでもあり善は舞台への気持ちを新たにする

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→goo映画http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD18022/index.html

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2012年07月21日

神々の世界で奮闘の少女、千尋

千と千尋の神隠し
宮崎駿
12.0620sen.jpg★★★★☆

 小4位の少女が奮闘努力の末に何ものかを勝ち取る成長の話。夢オチ様な話でもあるかな。否、彼女の両親は確かにとらわれの身となっており、それを救い出した「感触」が印象として残る観後感。異様な者たちを前にして、戸惑いながらも決してたじろがず前向きに立ち向かい慈愛を寄せる少女・千尋(ちひろ)。持って生まれた優しき性質ゆえのこと。異界のキャラクターたちは皆現代社会を象徴するような意味深な存在感を放って千尋とたわむれていく。

 魔界にさまよい込んだ千尋はブタへと姿を代えた両親を救うため、謎の少年・ハクの導きにより、温泉旅館「油屋」の下働きの身となり次々襲う難局に立ち向かっていく。温泉の客や従業員らはそれこそ「もののけ」のような異様な姿をしており、千尋のような人間は、女中などしているものの、こき使われる立場に追いやられている。その世界、旅館を差配する湯婆婆(ゆばあば)が取り仕切る場にて、千尋も真っ先に名前を「千」と変えられしまう。千は女中として、異様なナリをした神々=お客をさばいていくが、特に川の化身「汚れ様」や、神とも知れぬ何者か「カオなし」との一件がハイライト。少年・ハクと湯婆婆の間には特殊な主従関係があり、身を壊して湯婆婆に従うハクの献身ぶりに裏事情があることを見抜いた千はいよいよハクを救うべく立ち上がる。それはすなわち湯婆婆との戦いを意味してく。

 とまれ、日本映画興収歴代トップの和風娯楽大作にて、神秘の名作凄まじい

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2012年07月17日

オーディションで告白の時

コーラスライン
リチャード・アッテンボロー
12.0716ChorusLine.jpg★★★☆☆

 とある日とある劇場での、ミュージカルの群舞ダンサー、コーラスダンサー役のオーディション風景を描いた実録風味わいの楽屋話的ミュージカル映画。舞台作とは違い映画版では最初オーディションに大挙して集まった志望者の列、大集団が描かれる。舞台上でこの大人数の振り絞りが行われ、2次選考者、3次選考者と絞られていき、最終16人となり、演出家によるそれぞれの人へのインタビューの段に入る。個々のダンサーはそれまでの生い立ちなど負の部分も含め赤裸々に個人を語っていく、そこいらがメインのシーン。ゲイだったり、背が小さくて子役しかもらえないとか、美容整形したことで運が開けてきた、などそれぞれにドラマを抱えるダンサーたち。最終的には8人が選ばれるが、おまけのようなもの。それぞれの告白はそれぞれに劇的で、歌、ダンスが絡んで1曲に昇華してく。

 ブロードウェイのメジャーミュージカルの映画化。マイケル・ベネット原作の劇場版は75年4月スタートで、10年後の85年に今作、映画化となった。劇場で選考に当たるステージディレクター役にマイケル・ダグラスでその他出演はほとんどがオーディションにやってきたダンサー役。従って皆がダンスに優れる。集団オーディションやらラスト群舞などアンサンブルのシンクロ具合も相当なレベルにあり、そんなダンスシーンがやはり圧巻であるかな。

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2012年07月14日

安五郎のブレない心

馬鹿まるだし
山田洋次
12.0613baka.jpg★★★☆☆

 ハナ肇扮する、シベリア帰りの男、安五郎がその村でたどった出来事録、その破天荒な半生を描く。
 山田洋次監督の「馬鹿シリーズ(3部作)」の初回。後の寅シリーズで寅次郎に引き継がれる、馬鹿だけど皆から好かれるキャラの原型。設定も寅シリーズでいう所のマドンナがいて、主人公、安五郎を突き動かす原動力となる。規格外の図抜けた存在の安五郎だが、安五郎の心は決してぶれることが無い。

 その何者とも知れぬ安五郎、気は優しくお人好しでなおも力持ち。持ち上げられ、その村で起こった厄介事にかり出されては(結果的に)解決してしまい、信奉する子分も表れ、村の顔役と成り上がる。

 素性は知れぬ。元々は村の寺に居候、泥棒を捕まえて信用を得て、寺の小男となり、そこに住むシベリア抑留の主人を持つその寺の嫁「ご新造さん」(桑野みゆき)とその息子に慕われ、安五郎は密かに新造さんへの思いを募らせる。単純で押し出しがあることから、村の有力者の娘が怪力の旅芸人と行きずりになったことにかり出され娘を救い出したり、炭坑の労働争議で煙突に上ってろう城を続ける男を(結果的に)下ろして労使解決に導くなどでいよいよ村の親分と持ち上げられるままになるが、そんな安五郎を心配するのは安五郎が想い人、新造さん。時が経ち、安五郎も少々落ち目となった矢先にダイナマイトを持った脱獄男が村人を人質にして立て込んだことから、安五郎がかり出されることになって…

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2012年05月16日

逃走と追跡の被害者ソーンヒル

北北西に進路を取れ
アルフレッド・ヒッチコック
12.0515NorthbyNorthwest.jpg★★★☆☆

 ヒッチコックのメジャー娯楽作。スパイに間違われた男が、話の流れで殺人犯に仕立て上げられ、警察に追われる身になりながらも自らをおとしめた謎の人物を追って追跡を繰り広げるサスペンスストーリー。複雑なプロットで2時間越えの長尺。めまぐるしく展開する話は主人公のソーンヒルの受難のストーリーであり、大陸横断のスケール感あるロードームービーライクな冒険話。ぐいぐいと強引なまでに急速展開し、そんな中でもしっとりしたラブシーンも織り込まれ、スリルとサスペンスの緊張感が継続する主線。被害者となった主人公のソーンヒルにケーリー・グラントで、何ともヤレヤレな雰囲気に包まれてるのだが、次々と難局を切り抜ける姿は本物の諜報部員の様でたくましい。ラストは有名な4人の大統領の顔の巨大像がある「ラシュモア山」でのチェイス&格闘シーン。女スパイ、イヴとのロマンスの行方やいかに

 ニューヨークでの受難の契機から始まり、ソーンヒルは謎の人物を追って長距離特急でシカゴへ移動。列車内では金髪美女イヴとのつかの間の恋があり、そのイヴこそ、話のカギを握る2重スパイな訳だが、ソーンヒルは知らず。イヴの手引きで郊外へと向かうが、そこで小型飛行機の襲撃を食らい危うく逃げ仰せる。シカゴのホテルに戻りイヴと再接触を図るが、今度は素っ気ない。ソーンヒルはイヴを追ってオークション会場へと行くがそこでイヴは敵方の愛人だと発覚する。しかしその後、ソーンヒルは自分がCIAが仕立てた架空の人物キャプランだと敵方スパイに間違えられて、騒動に巻き込まれたのだと知り、その敵方に2重スパイとして潜入しているのがイヴで今はソーンヒルがらみのいざこざで敵方に感づかれてつつあり危ない身の上だと知る。ニューヨークでは全く普通の広告代理店マンだったソーンヒル。今度はそのイブを救う為に敵方に挑んでいくことに

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2012年05月11日

次郎長、沼津で不意な足止め

次郎長三国志 次郎長初旅
マキノ雅弘
12.0510jiro.jpg★★★☆☆

 マキノ雅弘監督、"次郎長三国志"シリーズ第2弾で、前回親分を名乗り上げた次郎長が一家従え初旅に出るの巻。この後、次郎長は旅先で新しい子分を次々従えていくことになるが、まず最初に旅先で加わった子分「増川の仙右衛門」の回。一家は仙右衛門とその友人、佐太郎のせいで身ぐるみはがされることになるが、朗らかに笑って旅ゆきを続ける豪快さが愉快痛快。展開毎に流れるは、原作の元にもなった浪曲師、広沢虎造のうなり。「馬鹿は死ななきゃなおらない〜」などと入り込むのもファンキーな味わい。鷹揚な親分、次郎長と切れ者の子分、大政ほか、ムードメーカーとなる法印大五郎らの個性的キャラが集まって喜劇&ハートウォーミングな侠客ストーリー

 次郎長の旅のきっかけは、前回喧嘩の仲立ちしたもののお尋ね者となったことによる。旅の直前に祝言をあげたお蝶をおいて次郎長の旅の始まり。道中、河原で喧嘩を仲裁。2人に追われてる若者、仙右衛門は仇討ちの恨みで追われていると。次郎長はこの場は自分に預からせてほしいと、追っ手の2人をなだめる。そして、仙右衛門の知り合いで料理屋を営む佐太郎がいるということで沼津での逗留となるが、料理屋は落ちぶれており、ばくち好きの仙右衛門と佐太郎で夜ごと皆の着物を質入れしてばくちにつぎ込みスッカラカンに。一家は仙右衛門が連れ歩く恋人の父親の親の所へ行き、毛嫌いしていた仙右衛門と父との間を取り持ち、その父は次郎長を惚れ込んで彼らの衣服の面倒を見る。そしてラスト、仙右衛門の最初の喧嘩の後始末で河原の決闘に挑む一家。そして、一家の前に現れた「森の石松」とは何者か?

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2012年05月08日

ブルース・リーの格闘美学

燃えよドラゴン
ロバート・クローズ
12.0507doragon.jpg★★★☆☆

 ブルース・リーの名を世に知らしめたメジャー作。空手を主とした格闘アクションが主菜のシネマ。精神的な部分も含めブルース・リーの格闘美学がコンパクトにまとめあげられたアクション大作。鍛え上げられた肉体を武器に、ことごとく相手をぶちのめす数々のシーン。痛快この上なしの娯楽作。同士となる西洋人の格闘家たちや同じく諜報の役回りとして潜入している女性使用人などと共闘して悪の真髄に迫っていく

 悪の巣窟に乗り込んだ武術修行中ながら武術の達人リー(ブルース・リー)の悪人退治のストーリー。少林寺拳法の達人リーは、人身売買の疑いのかかる裏社会のボス、ミスター・ハンが主宰する物術大会に参加し秘密を暴くよう情報組織に依頼され、最初は断るものの、妹が自殺をしたきっかけとなった悪党だと知り、意を決してハンのアジトである離れ島へ単身乗り込む。リーと同じく招待されたアメリカ人達もいて、豪華な酒宴に夜には女性もあてがわれるなど歓待を受けるが、リーは既に現地に乗り込んでいる女性諜報局員メイ・リンとおちあい、夜ごとに組織の中枢に潜入して捕らえられた人々が大勢いるなどその悪事に接近する。昼間はトーナメント戦が行われており有力者がしぼられ、リーと同じくアメリカ人のウィリアムス、ローパーも勝ち抜いていたが、ある日ウイリアムスが殺される、誰ぞの潜入にウィリアムスが疑われたもの。リーの潜入はやがて暴かれハンはローパーにリー退治を依頼するがこれを断ったローパーはリーと共闘し、ラストの総決戦、アジト壊滅へ大激闘へとなだれ込む。

 リーは劇中ほとんどの格闘シーンで武術の監修をしていたと。そしてリーの名言「Don't Think. Feel.(考えるな!感じろ!)」はこの映画の序章で後輩に武術指導するシーンで生まれている。

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2012年05月02日

ウサギと沖縄の釣りバカ

釣りバカ日誌イレブン
本木克英
12.0501turi-13.jpg★★★☆☆

 JALの機内映画で観た「釣りバカ」13作目。映画タイトルにある「イレブン」と映画の通算作数が違うのは、途中にスペシャルがあって、それがタイトルに加算されていないからだと。

 釣りバカのスーダラ建設会社社員、浜チャン(西田敏行)とその会社の社長であり、またの姿は浜チャンの釣りの弟子、スーさん(三國連太郎)の2人が繰り広げる松竹定番のコメディシリーズ(2009年の第22作がラスト)。今作より監督がそれまでの栗山富夫から本木克英に代わったターニングポイントの作。ウサギが取り持った社員らの関係性と、リストラが迫られる会社経営でスーさん悩むの図。それらが後半、沖縄で急展開をとげる痛快コメディ。毎回そうだが、西田敏行の半ば強引な牽引力で押しまくり、最後にホロリと落とす、予定調和ストーリー

 今作ではまず、浜チャンと同じ部署のOL、志乃(桜井幸子)が飼ってるウサギが大きくなり過ぎで困っているのを浜チャンが、同じ社に勤める釣りの弟子でもある宇佐美(村田雄浩)にウサギを引き取られせることで解決。しかしウサギは食べて処理したと知り志乃は大ショック。さらに志乃に思いをよせいた宇佐美は沖縄転勤に。スーさんの沖縄出張に浜チャンが場持ちの良さから同行することになるが、浜チャンは宇佐美とともに釣り三昧の反面、スーさんは戦後の傷跡の残る沖縄の影を忍ぶ旅路へと向かい、2人が一緒に釣りとはいかぬ。浜チャンらは難破して漂流。スーさんは社で抱えるリストラ問題である解決策を決心。

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2012年04月07日

絡みづらい京都の日常

マザーウォーター
松本佳奈
12.0405mather.jpg★★☆☆☆

 京都にありながら、京都弁がまるでなし。劇中の、豆腐屋、ウイスキーバー、カフェと、それぞれ「水商売」営む女性たちは、パキパキの標準語を話すことで違和感が先に立ったが、どこからか(まあ東京なのだろう)やってきた人たちか。これらは市川実日子、小林聡美、小泉今日子が演じ、女性でいえばもう一人の主要キャスト、もたいまさこは謎の散歩をする初老、その地に住む人か、この人も東京弁ではある。男性陣は家具職人の加瀬亮、風呂屋の主人、光石研とそこのバイトの永山絢斗。瑛太の弟。この人らも東京弁。それぞれがまるきりリアリティを欠いた、小キレイな居場所にいて働き、それぞれが初対面で、劇中だんだんと関係を築いていく。主だったストーリーや事件は見当たらない。『かもめ食堂』『めがね』なんかと同じスタッフらしいが、それらと比べ、さらにそぎ落とした作り。しかし、表に出さねどそれぞれが何か事情を抱えている風でもある。小林聡美のバーに通う加瀬亮は何か相談事をしているか、小林は加瀬の事情を知っている風。風呂屋の光石研が面倒を見ている赤ちゃんはみんなの関係をつなぐ劇中のキーマンで、唯一リアリティある存在。たたずまいに嘘がない。そしてこの(かもめ食堂)シリーズに通じる、料理スタイリスト、飯島奈美さんが作る料理群はやはり見もの、ではあるが、もたいまさこが毎日作っているとされる「ちゃんとした食事」で出てくる料理たちはやたらうまそうなのだが、ことさらリアリティがない。
 スタイリッシュなPVのようなに整頓された映画。それはそれで、キレイな見た目でいいのだが、集中力が必要となる種のシネマ

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2012年04月03日

脚本検閲で異色コメディ

笑の大学
星護
12.0402warai.jpg★★★☆☆

 脚本検閲で相対する2人を描いた、密室2人劇。検閲官と脚本家の丁々発止のやり取りは、元はと言えば原作、三谷幸喜が主宰する劇団「東京サンシャインボーイズ」で上演されたもの。「古畑任三郎」で三谷とコンビを組んだフジテレビのドラマ演出家が監督を担う。理不尽なる修正要求にことごとく答えて翌日提出する脚本家。しかし検閲は昨日とは違うポイントでなされ、脚本家はそれに反論、検閲官もその喜劇性に納得するが、立場上はそれをオモテに出せず修正を強要。これを数日間繰り返し、やがて2人の間に妙な連帯感が生まれゆき、当の脚本自体が究極の喜劇台本に進化していく。このまま晴れて認可が下りるか…。しかし、物事は単純に収まる訳がない。

 検閲官に役所広司で脚本家に稲垣吾郎。基本、検閲部屋での2人芝居、その他の場面も少々挟まれる。戦時の憂鬱を背景にとらえ、そこからにじみ出る笑いを拾い喜劇化。題材を限定されれば、限定される程、それを解決する意義に燃える脚本家も世の中にはいる。2人の関係は、プロデューサーと作家、上司と部下、など様々に置き換えて想定できる普遍性を持つ。

 昭和15年、太平洋戦争突入前の頃、浅草の喜劇小屋「笑の大学」の座付作家、椿一(つばきはじめ)が対峙した堅物検閲官、向坂(さきさか)は満州帰りでおおよそ芸術を介さない厳格な男。そんな男に当たった作家に運がなかったか。それでも作家の椿、脚本のタイトル『ジュリオとロミエット』がなぜにおかしいか、これはパロディゆえのおもしろさがあるなど、喜劇の一からを教え、理不尽な修正要求にもことごとく従って(上映期日が迫っていることから)翌日には修正版を仕上げ検閲に提出。しかし、検閲の向坂はその修正に対しての笑いをかみ殺し新たな直しポイントを指摘する。堅物といえど元々は嫌いではない検察官はいつしか、その脚本家の喜劇世界にのめり込み、やがて自らの喜劇脳を開花させて…

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2012年03月27日

家政婦ムイの半生

青いパパイヤの香り
トラン・アン・ユン
12.0326papaye.jpg★★★☆

 家政婦の少女、ムイが見た家族の内情。そして大人になったムイがつかんだものとは。

 50年代のサイゴンをパリ郊外に再現し、パリ在住のベトナム人をキャストにして撮られた「虚構の」古き良きサイゴンの少し裕福な家庭の生活がベース。家政婦視線でつづられる瑞々しい生活感。シズル感に満ちた料理に調理シーン。庭の草木に滴り落ちる水。カエルやトカゲ、アリへのクローズアップ。体の部分に迫った象徴的なアングル。なにかアートフィルム様にそれぞれのカットがことごとく絵画的で緊張感に包まれている美的フィルム。セリフ少なく、語り口はささやくように優しく語られる。多くの場面がセリフなしのニュアンスでつづられる。南国、熱帯の土地での生活だが、暑苦しさがまるでない。すべては「虚構」に満ちあふれているが、繊細・美的が続く映像パワーにやられるたぐい

 ベトナム系フランス人監督で近作に『ノルウェーの森』がある監督、トラン・アン・ユンの劇場映画デビュー作にして傑作『青いパパイヤの香り』、20年前の映画。BGMに時代性を感じるが、映像そのものに古くささなし。観後感良く、こころ洗われるストーリー

 10歳でとある呉服商の家に奉公に来たムイ。古参の家政婦に料理の一からを教わり、家の人らも、男3兄弟の末っ子がちょっかい出してくる以外は皆優しく、奉公生活に難はないが、その家にある闇が徐々に見えてくる。主人はたびたび家を空け、10年前に出来た一人娘は主人の不在時に病死しており、主人はそれ以来反省していたが、また家の金を持ち逃げして家を出た。姑から悪い嫁だとののしられる女主人だったが、ムイのことは死んだ娘の変わり身として可愛がっている。10年後、その家の長男は嫁をもらい、ムイは他の家に奉公先を変えられるが、その家の主人は長男の友達の新進の音楽家で幼き時にムイ恋した相手。音楽家には恋人がいたのだが、ムイの勤勉な様子にいつしか音楽家は惹かれていく

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2012年02月22日

とある兄妹の内情

ナイルの娘
侯孝賢
12.0222Daughterof.jpg★★★☆☆

 久々にホウ・シャオシェンの映画を見る。対象物から一定の距離を保った長回しの緊張感あるカメラはいつ見ても峻烈で懐かしい。今作は彼の出世作『恋恋風塵』『悲情城市』と同時期に撮られたらしいが、こちらは70年代終わり同時期の現代劇。アイドル歌手を主演にした通俗劇。主演の兄妹、兄の方は特には色々と事件が起こるが、基本、家庭の場面が多く、食事をしたり、妹の勉強を見たり、おじいちゃんがうろうろとやってきたりなどと淡々とした何気ない日常が多く描かれている。心地よい庶民の生活のリズム感が息づいて、いとおしくなる。

 日本のマンガ「ナイルの娘」が好きで、その中の王に憧れている娘、シャオヤン(ヤン・リン)とその家族の物語。兄と妹の3兄妹、あるいは過去にもう一人兄がいたか。これまでの家族の経緯が娘のモノローグで語られるが少々判りにくい。母も亡くしていて、自分はファーストフード店で働き、夜学に通う毎日。兄、シャオファンは女衒の様な商売をしておりチンピラまがいの闇社会の生きる。離れて暮らす父は時たま帰ってきては兄と衝突を起こす。じいちゃんは近くに住み時々やってきてはごはんを食べている。シャオヤンは兄の友達、アーサンを、「ナイルの娘」に出てくるファラオと重ね淡い思いを抱くが、やがてそのアーサンは、さらには兄も事件に巻き込まれて…。

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2012年01月22日

凄惨なる内ゲバ描写の果てに

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
若松孝二
12.0121jituroku.jpg★★★☆☆

 タイトルに「あさま山荘」とあるが、それが主体に描かれるモノではない。そこに至るまでにどんな連中がどんな組織の離合集散を繰り返してそこに行き着いたか。あさま山荘は5人の残党による警察からの逃亡の末にたまたま通りがかった場所。映画のラストはそこで催涙弾や水攻めなど総攻撃を受ける中での彼らの立てこもりの様子が臨場感あるテイストで描かれる。
 映画全体が大権力に対し革命闘争を仕掛ける側の視点で描かれており、主に警察側の視点で「あさま山荘」を扱った映画『突入せよ! あさま山荘事件』とは対極をなす主線。若松監督は先に「突入せよ」を観て、一方的な視点でしか描かれていないとの憤りから今作の製作を開始したと。キャストは60年代から学生運動に打ち込んできた革命闘志らで固められ、時系列を追いそれぞれ組織の幹部らが実名学校名の字幕入りで次々登場する。そして中盤、いよいよ、革命運動の先鋭的分子が連合赤軍に集約され山ごもりしての軍事訓練の段。これは「山岳ベース事件」として世に知られる「総括」という名の内部粛正による内ゲバ模様。幹部の森恒夫(地曵豪)、永田洋子(並木愛枝)の主導により、次々殴り殺されていく展開。映画の一つのヤマである。粛正された一人、遠山美枝子(坂井真紀)は永田の執拗なる追求の果てに、自らを殴り続けることを強要されて顔が原型をとどめぬ位にはれ上がりこれに永田が鏡をあてがい本人に見せつけるといった場面など。暴力描写は凄惨きわまりないがこれこそ若松映画のカタルシス。そしてクライマックス、雪山越えを経て、極限状態で「あさま山荘」へ向かう。残ったメンツは5人。
 190分の長尺だが全体に張りつめたテンションで一貫しており飽きはない。むしろ早足過ぎて追いつけない位。史実を追い過ぎ登場人物も多いため、それぞれの精神性までは入り込めていないが、それは主題ではないだろう。血塗られた学生運動の歴史の勉強としては参考になる、程度

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2012年01月20日

ロッキンな学園シネマ

スクール・オブ・ロック
リチャード・リンクレイター
12.0119SchoolofRock.jpg★★★★☆

 ぽっちゃり体系でいつでもハイテンション。ジャック・ブラックの強烈なキャラでひき付ける学園騒動もの。この場合ジャックは偽教師として潜り込んだ学校で生徒らにロック魂を植え付け焚き付け燃え上がらせるロック馬鹿な男。劇中、彼の口から生徒に教えるフレーズや引用として飛び出るロックレジェンドの数々。素の姿でもミュージシャンだというジャック・ブラックは身のこなしに嘘がない。彼の同居人として登場する気弱な青年、ネッドは今作の脚本家マイク・ホワイトで、元々彼が自宅の隣に引っ越してき裸で歌いまくっていたことから思いついたと。まさしくジャック・ブラックのための映画で、ダメ男だけど憎めない人間くささがクッキリ刻み込まれている。生徒役も、まあ皆素直すぎる嫌いもあるが、名門私立学校に通う良家の子らという設定ゆえにまあ受け流せて見れて、それぞれに映画の中でしっくりフィットして息づいている

 落ちこぼれミュージシャンが教師として潜り込んだ小学校で巻き起こるロック騒動。ジャック・ブラック演じるデューイはバンドを首になり、同居人のネッドには家賃の滞納分を迫られ、差し迫った勢いで、ネッドにかかってきた代用教員の依頼を引き受けてしまう。ロック馬鹿のデューイはもちろん生徒の前で出来ることと言えばロックのみ。日頃からクラッシックの素養ある生徒らは彼の教えるロックを次々にマスター。デューイは賞金のかかったバンドバトルを目指すが、ニセ教師であることがバレて元の木阿弥。しかし生徒らのロック魂は燃え始めたばかりでデューイは生徒らに呼び戻されコンテストに出場となる

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2012年01月11日

洋風色強き退廃の物語

天空の城ラピュタ
宮崎駿
12.0110rapyu.jpg★★★★☆

 日テレの定期放映で『ラピュタ』を観る。劇場版宮崎アニメの3作目で1986年の作。25年も前の作品だが、普遍のエンタテイメントがみなぎるシネマ。どこかヨーロッパを舞台にし、時代でいえば18世紀の終盤か。最初の観たとき(今でもそうだが)、なんと洋風な美術のしつらえになっているかと驚いたもの。そんな印象はこの『ラピュタ』に限らず宮崎アニメ全体にかかる。どこか遠い国の物語。今作は天空の王国がテーマとなるファンタジーであり、主人公の少年少女を主にしためくるめく冒険活劇であり、滅びゆく退廃の物語である

 幻の天空の王国「ラピュタ」の王族の娘であるシータと見習いの鉱山労働者の少年パズーが出会い。少年が父から聞いていた「ラピュタ」とその少女が関連することを知り、紆余曲折の末、その他財宝を追うものなどを含め「ラピュタ」を目指す物語。羅針盤は「飛行石」と呼ばれる不思議な力をもった石で、シータがかつて母から聞かされていた呪文を唱えると光を放ち「ラピュタ」のある方向を示すなど。ほか「飛行石」はシータの身を守る加護の役を果たす。同時に「ラピュタ」を目指すのは特務機関に所属するムスカ大佐で、彼は後にシータと同じ「ラピュタ」王族の子孫であることが知れる。「ラピュタ」にたどり着いたシータとパズー、そしてムスカ率いる巨大船。パズーの同志のドーラ一家は「ラピュタ」到着時すでにとらわれの身となっており、パズーは彼らを救出するが、シータはまたとムスカに捕らえられ(劇中何度もムスカに捕らえれる)「ラピュタ」の中枢へと引っ張り込まれる。パズーはシータ救出に向かう…

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2012年01月07日

孤独と熱情。背徳の逃避行

悪人
李相日
12.0106aku.jpg★★★☆☆

 長崎の寒村にすむ労働者、清水が出会い系で知り合った福岡のOL、佳乃との待ち合わせで目の前の他の男の車に乗っていった佳乃を、ふとしたハプニングで殺害。清水はその後、出会い系で知り合った別の女、光代と「愛の逃避行」をとげることに。いいしれない孤独をそれぞれに抱えた登場人物たち。果たして光代にとって、清水は「悪人」なのか。単純にはいかぬ成り行きの一つ一つが悲しく世情を映す。

 吉田修一の大ヒット新聞小説を映画化。吉田は映画化に向けて脚色も初めて着手。インタビューによると、原作でボリュームのあった前半部分、清水の殺しに至る経緯や葛藤などを削る代わりに光代との逃避行に重きを置いたと。殺人者、清水に寄せる光代の信頼感は日増しになり心理的共犯関係を築くあたりがキモに描かれる。
 清水には妻夫木聡。自宅では育ての親で自らの祖母とその夫であり病院通いの祖父らの面倒をこまめに見る静かな青年。深津絵里演じる光代は、佐賀の紳士服チェーンで働き、社交的な妹との2人暮らしで悶々とした毎日を送っていた地味な一般女性。どの地方都市、町にもいそうな2人が偶然出会い熱情を生む。劇的な逃避行

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