山下敦弘
★★★★☆説明的なものを一切感じない自然体の映画。はじける青春の熱さはなく、誇張されたコメディに走ることもない。地味な展開からふつふつと湧き上がるナチュラルな感情が切なくなるよに伝わってくる、まさしく新感覚のシネスタイル。主演ペ・ドゥナの不思議系の存在力大きい
学園祭を明日に控え空中分解したバンドのメンバー3人が、バンド復活するため偶然かかった曲『リンダリンダリンダ』をコピーすることに決め、さして親しいわけでもなく、たまたま通りかかった事を理由に韓国からの留学生をボーカルを託すことから始まる物語。3日間ある学園祭でバンドの出演は最終日なのでほんの4日間の出来事を4人の練習模様を中心に描写。
バンドの主導者、ギターの"恵"に香椎由宇。ミュージシャンの元彼がいて彼のプライベートスタジオを借りたりするなど少し大人的存在+勝ち気な気性。ドラムス"響子"にメジャー女優・前田亜季でありがちな明るい女子でポジティブ思考の持ち主。響子のラブストーリーも終盤にかけてのポイント。ベースの"望"にバンド"Base Ball Bear"のマジミュージシャンの関根史織でクールドライな女子。家庭の事情で3人の弟を母親的に見てる設定も少し。ボーカルの留学生"ソン"には『ほえる犬は噛まない』などの主演作がある上昇気流の韓国女優ペ・ドゥナ。ぼくとつで天然で天真爛漫。深夜の学校でバンド練習の合間に、人けのない学園祭で飾られた校内を一人つれづれに話しながら歩き回り、本番の舞台となる体育館の舞台に立ち、ひとり、メンバー紹介のシュミレーションをする下りは史上の名シーンとなるだろう。
ラストの学園祭演奏シーンでは4人の演奏の前に同じ女子高生役でストーリー中でもちろちろ出てきた、声楽系のボーカリスト湯川潮音と、池袋のジャニスジョプリンの異名をとるme-ismの山崎優子、それぞれの歌をフューチャリング。山崎がアカペラで歌う奥田民生『素晴らしい日々』がいい。それとブルーハーツ・甲本ヒロトの実弟、甲本雅裕が顧問教師役で出演もいい味。
監督・山下敦弘氏は大阪芸術大学出で学生映画出身から着実にキャリア積んで04年のつげ義春原作『リアリズムの宿』など話題となった劇場公開モノもあるらしい新進気鋭の若手監督。
淡泊だけど、少なくともアイドル映画にも女子高生趣味的指向にもノスタルジーにも陥ってない地に足のついた芯の通った秀作。このうえなきリアルな感覚でせまる。日本映画では去年公開同じく学園女子音楽ものの『スウィングガールズ』の次ぐ感動作。といっても全く趣向が違う。『スウィング〜』を基準にすれば、『リンダ〜』はいい意味手作りテイスト。
→電映嗜好
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