中島哲也
★★★★★ハイテンションで押しまくる勢いと、映像技術の粋を隅から隅まで余すところなく結集した巨大作。
素直な感想、『こんな映画が見たかった』。
戦後すぐに生まれ、幼少期を父親に愛されないまま卑屈に育ち、数限りない男運の悪さに身を滅ぼしながらも、しぶとく生き抜いた一女子の波乱万丈の生き様を後年、彼女の甥が回想するカタチでつづった重構造スタイルの年代記。破滅のストーリーをファンタジーのオブラートで包んだ異色作
ただものではない力作である。全編CGだかSFXだか、画面加工だか何だかんだで、作り込みのなされようたらハンパない。まず画面に圧倒され、次にストーリーの構築力と構成力もすざまじく完成されてることにも圧倒。相当な量感の要素が端折りの印象なく凝縮され尽くしてる。
さらには全編がソフトにミュージカル仕立てで、ここら辺が自分としてはツボなのだが、なんだかんだで観ながらにして全身拘束衣を着せられてるかの吸引力に、全編力入りっぱなし。正直息の抜きどころがない。かといって退屈なり、疲れることもない。単純に、面白い、というのとも違う。唖然とするくらいの濃厚さに面食らって動けなくなる。に近い。
監督の中島哲也氏はCM界の巨匠(ex.サッポロ黒ラベル 「温泉卓球」、JRA・木村拓哉シリーズ等)。CMでいうところの15秒に注ぐ作り込み(気合い)を、2時間は超えるこの映画に対し、全編でみなぎらせる勢いの豪華な作り。
なぜここまできてしまえるか。。。金?時間?。CM監督として築いたキャリアがなしえる奇跡の大作、か。
映画の前提知識はまるきりなかった。監督の前作『下妻物語』は好きだが、今回の主演、中谷美紀はなぜか普段から好きになれない女優。1日の映画半額日で他に観るものなしで、「しょうがなく」観たのが運のツキ。
『下妻物語』同様、序盤から画面加工炸裂のハイテンションぶり。はたしてこの勢い、いつまで続くかと思いきや、最後まで続くことになるとはまるっきりの想定外。出ずっぱりのヒロイン松子、演じる中谷美紀もストーリーにしっくりはまって(埋まって)、中谷なりのキャラは出てこないが、それがいい。監督と中谷、ヒロインの壮絶な役回りに比する位の役作り上の壮絶な葛藤を繰り返していた、と後でネットで知るが、結果として、中谷の個性が出てこない分、主題の触媒としてシンプルに収まってる。ここまで濃厚な物語がまとまりあるものとなったのも、主演、中谷の力量なのだろう、か。
久々の五つ星映画。豪華!
→電映嗜好
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