小林正弘
★★☆☆☆'04年のイラク邦人人質事件の高遠さんをモチーフに取った映画。あくまでフィクションなのだという。
説明的な下りを排除し、ヒロインが追いつめられていく様子が淡々と言葉少なに描かれる。ノーライト(風)手持ちカメラ、長回しなどと、極インディペンデントな作風。観進んでいくうちに、このヒロインに共感できるか、を問われているかの強迫観念にとらわれるが、あまりの状況説明の希薄さに、ヒロインに振りかかる試練に対し「なぜそうなってしまったか」の疑問が渦巻いてしまう
まあ、そこら辺は前提としてフィクションというのがありながら、共通認識としての「イラク人質事件の女性・高遠さん」とダブらせるしかない無理矢理な状況が展開されてくわけだな。
正直何となくしか、あの事件のことを知らないし、3人がバッシング食らってる話もなにげにしか聞いてない。何でこうなるかの背景を見せずに、ひたすらバッシングを受ける状況と家族らにも振りかかる災難が展開される映画。
果たして作者(監督)は、この主人公を正義感の人として見せようとしているのか。どうやらそうでもない。だとするとヒロインをバッシングする側、ムラ社会的異物排除性質の一般人を逆バッシングしてのものか。そんな単純なものではないのだろうよきっと。
果たして何ナノだろうか。あまりに救われないヒロインの成り行きに、単純に「悲しい映画やな」と感じるのみ。
監督はかつてはフォーク歌手で、TVドラマとかでシナリオライターなぞしつつ、映画監督としても、カンヌにこれ含め4度参加してるなど実績つんでる小林正弘氏。
ヒロインには舞台女優の占部房子。この映画の要である、ヒロインの感じる疎外感を見事に映して見せてたように思うがどうだろうか。少なからず共感は覚えた。共感とともに違和感も。
父役に田中隆三。この人の柔かな空気感は、ともすれば陰鬱になりがちな題材に救いをもたらす貴重な役回り。いい役者だね。あと香川照之が、なぜこんな役でという感じでちょこっと出演。まあ、友情出演的なキャストなのだろう。あと大塚寧々は、ヒロインの継母役で神妙な芝居ぶり。
→電映嗜好
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