夏祭浪花鑑(住吉鳥居前の場より長町裏の場まで)
天守物語
★★★☆☆夏の風物詩的演目の「夏祭浪花鑑」が前半。この演目、主役の団七は最近では勘三郎が馴染みで今回の海老蔵のそれとどうしても比較せざるを得ないのだが、海老蔵の聞き慣れない関西弁に所作にも硬さがあり、特に獅童演じる徳兵衛との立ちあいはぎこちなさ丸出し。これを初々しさというや否か。ラストの舅の義平次(市蔵)をなぶり殺しにする見せ場での見得はそれなり見栄えはするが、やはり全体に軽さは否めない。
2つめ、「天守物語」は演出も手がける玉三郎肝いりの演目。城の天守に棲む異界の妖姫、富姫を玉三郎が演じまさしく真骨頂の妖艶な姫。泉鏡花の世界観を幽玄に怪しく表現した舞台は秀逸そのもの。3年前にも同じく海老蔵が図書之助で共演した同じモノを観たがさらに完成度高まる。
『夏祭浪花鑑』は泉州堺の魚売り団七を核にした愛憎劇。夏の盛りの祭りの頃が背景となっており祭り囃子が通して鳴り響く夏の風情あふれる舞台。団七は訳あり入牢しており釈放されるあたりが始まり。釈放を待ち受ける昔侠客で釣舟屋の主人、三婦(市蔵)と再開を喜ぶ団七。三婦は鬚の伸びた団七を床屋へ行かせ衣服を与える。次、団七の恩人の息子磯之丞(笑也)の恋人琴浦(春猿)が佐賀右衛門に言い寄られる所を団七が救い、その子分徳兵衛(獅童)とケンカ。ここは様式的な二人舞いだがこれが今回マズい。
場が変わって、訳あって人を殺し三婦の家にかくまわれている磯之丞と琴浦。負っ手が迫る所、徳兵衛の女房お辰(勘太郎)がやって来て磯之丞をかくまおうとなるが、三婦はお辰には色気があり預けられないといい、これにお辰は顔に火箸を当てて傷を作り心意気を見せる。
次に琴浦が団七の舅義平次に引き取られるがこれは琴浦を奪おうと企む佐賀右衛門に金で釣られた欲深な義平次の悪事。団七はこれを後追いし、琴浦奪還をもくろむも義平次は義理の親でもあり手荒なまねは出来ない。金を持っているとだまし琴浦を返すが、ねちねちと小うるさい義平次に堪忍袋がキレなぶり殺しの「殺し場」。ここでの二人の立ち回り、10数回の見得で魅せまくる。最後泥だらけ水浸しで臨場感。
『天守物語』は天守閣に棲む異界の女主人、富姫と若侍図書之助の恋物語がヤマ場となる話。幕開けでその天守閣の女だけの妖美な世界観。童女の歌に侍女らの花釣り、そして富姫が登場。ここでの子役は女形ではなく実際の女の子も含まれているよう。ここに富姫の妹分、亀姫一行がやって来て宴。亀姫は自分の棲む城主の生首をお土産にもって来た。亀姫らが帰った後の夜、城の若武者、図書之助(ずしょのすけ)が主人の鷹を追ってやってくる。富姫は図書之助に魅かれ返すまいとするが、帰らねばという図書之助に家宝の兜を持たせる。しかしこの兜が原因で図書之助は家中から追われ天守に戻ってくる。祭壇の大獅子に隠れる図書之助と富姫だが、追っ手たちは獅子の目を突き、図書之助を取り押さえるも獅子の口から飛び出した件の生首を見るに追っ手らは逃げ帰る。しかし獅子の目を突かれた盲目となった2人をはじめ天守の人々。そこに彫りの匠(我當)がやって来て獅子の目を穿つと皆の目が開く。幕後、玉三郎、海老蔵、我當がカーテンコール
27日まで、東銀座・歌舞伎座で
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