芸術祭十月大歌舞伎 昼の部
芦屋道満大内鑑
寿曽我対面
熊谷陣屋
お祭り

★★★☆☆
十月歌舞伎座は重量感ある古典系ラインナップ。昼の部は「葛の葉姫」に化けてた狐が本物出現により夫・安倍保名を子に別れを告げる"芦屋道満大内鑑"が皮切りで個人的には期待の一番。怪しげで切ない奇譚芝居。「葛の葉姫」に
魁春で初役。障子に書かれる「曲書き」の墨文字が微妙な危うさはらむが全般に妖気あふれる狐ぶりで好演。期待に応える妙技
他演目は、曽我兄弟のあだ討ち話「曽我もの」の代表格"寿曽我対面"に、我が子を身代わりに首実検さす重厚長大義太夫狂言"熊谷陣屋"。ラストに江戸っ子の粋を示した清廉な舞踊でスッキリと終幕
『芦屋道満大内鑑』は陰陽師の安倍保名に恩ある狐が保名の許嫁「葛の葉姫」に化け子をもうけて暮らす中、本物が来て慌てるも家の障子に別れの歌を書き残し保名と別れる妖気あふれるメロドラマ。
保名の屋敷に両親付添の元訪れる葛の葉姫だが、屋敷の中にはもう一人の葛の葉が女房姿で暮らしており、これを魁春が瞬時に入れ替わりで演じる仕どころが見どころ。しまいに両者鉢合わせとなるが、これは片方が吹き替え。
狐方観念し、後の安倍晴明となる子と別れの口説きの場面、手を使わずに門戸を閉じたり開いたりとひとしきりエスパーな妖力発し、次に障子に別れの歌を書き残す「曲書き」の名場面。文字を下から上へと書いたり、左手で左右反転の映し文字、さらにむずがる子をあやしながらも筆を口に挟んで記すとなる狐の身を象徴の演出。
文面は「恋しくば 尋ねきてみよ いずみなる 信田の森の うらみ葛の葉」
その後保名現れるも葛の葉は消えゆく。訳が分からない保名も、葛の葉を追って信田の森に行くと宣言して一旦幕。のち、そでから現れた狐(葛の葉)、白装束に変わり身しロウソクの火に照らされて引っ込みのラストが妖艶
『寿曽我対面』は曽我五郎・十郎の兄弟が親の敵である頼朝の家臣、工藤祐経(すけつね)の祝宴の場に現れ対面、仇討ちの期を狙うサスペンスな設定。これを歌舞伎ならではの様式美化したメジャー演目。劇中、食ってかからんばかりの荒々しげな気性を示す曽我五郎に海老蔵で、祐経を演じる実父・團十郎に対峙するエポックシーン。時に軽々しく微妙なセリフ回しも体格というか風格というか父に劣らぬ存在感で海老蔵が躍動。醍醐味かな
『熊谷陣屋』は義経の家臣、熊谷直実の陣に義経到来で、平敦盛の首と差し向ける首は直実の息子小次郎の首。義経の内意を察して自分の子を身代わりとした悲劇。これをめぐりその場に居合わせる直実の妻・相模と平敦盛の母・藤の方の感情の揺れ動きが底流。
熊谷直実に幸四郎、相模に芝翫で、おおよそ安定した重厚な雰囲気かもすがこの演目、少々玄人向けな気配。いささか退屈
『お祭り』は赤坂の山王祭から帰ってきたほろ酔い気分の鳶頭が、からんでくる小者を軽くいなして江戸っ子の男っぷり見せる清元舞踊。これを仁左衛門がキレよく演じて清々しい。重厚な『熊谷陣屋』の後ゆえなおさらの爽快感
→
演戯傍観
posted by nyony at 10:55| 東京

|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
THEATER
|

|